ド ラ イ ブ の 楽 し み

 アメリカドライブ(レンタカー旅行)を、最初に実行したのは夫が61才、妻が54才のときだった。その当時日本からのツアーがなかったイエローストーンとグランドティートンへ、熟年夫婦にレンタカーで行くことを強く勧めてくれたのは、ワイオミング州政府観光局のスタッフだった。

 湖と山並みが美しいグランドティートンの大自然、壮大な渓谷やのどかな平原そして野生動物にも出会えるイエローストーン。このすばらしいアメリカの国立公園を自由に周遊して、ツアーでは味わえない魅力にすっかりとりつかれてしまった。(熟年夫婦のグランドティートン・イエローストーンレンタカー旅行

 自分で計画し、航空券やホテルなどを予約して出かけ、レンタカーで爽快なドライブをする。その楽しさは経験してはじめて実感できるもので、ツアーとは比較にならないすばらしい旅だった。

 それからは毎年、アメリカやニュージーランド、オーストラリアにでかけ、レンタカーでドライブ旅行を楽しみ、自由旅行の良さを満喫している。


 パックツアーのない景勝地に行ける


 この地球には、さまざまの素晴らしい大自然がひろがっている。魅力的な景勝地や世界自然遺産は数多くあるが、パックツアーではその一部の風景に接することはできても、その他の多くは訪れることができない。

 アメリカやオーストラリアの場合はそのうえ国土が広大で、鉄道やバスで行くには不便な所や、公共交通機関がまったくない国立公園も少なくはない。

 レンタカーでのドライブは、なんといってもそのような所に、(やってみたら)以外と簡単に、気軽に着いてしまったのが一番の魅力だ。


  
気にいった場所ではたっぷりと時間がとれる

 レンタカー旅行は時間を自由に使えることも大変嬉しい。

 素敵な景色に出会えたらその場所で連泊するもよし。昼、通りがかりに美しい湖岸をみれば、発砲スチロールにいれてある食料をならべて、その風光を愛でながら、ゆっくりと食事やコーヒーを味わう。日の入り、月明かり、日の出など時の経過を忘れて刻々とダイナミックに変化するさまを思う存分堪能することもできる。

 言葉ではいいあらわせない。なんという贅沢だろう。


  費用が安上がり

 私のような退職後の自由人には費用のことも見逃せない。

 現地でのレンタカー代、ガソリン代、宿泊費、食料費などはかなり安い。高速道路料金などは払ったことがない。そのうえ航空運賃もアメリカやオーストラリアは10万円以下で手にはいる。(しかも航空会社の正規割引運賃で。) トータルするとパックツアーより安く仕上がったように思う。


  
計画することの楽しさ、事後整理の満足感

 レンタカー旅行は当然自分自身で全てを処理することが前提になる。
 
 事前の調査や準備、予約や手配にわくわくと心が弾む。日本のガイドブックにない景勝地を探したり現地の状況確認は、大使館に付設の図書館やインターネットなどで調べる。帰国後の記録や写真の整理もまた楽しい。大きな満足に満たされる。


  現地の人との大胆なボディランゲジー

 現地の人に話しかけられるのも愉快だ。
 
 私は残念ながらまったく英会話ができない。妻は少しは話せそうだ。日本人かといいながら人なつこく近寄ってくる人と、手振り身振りも交えた会話になる。多くは朝鮮戦争の際に日本を経由した人や日本に住んだ人だった。またプロの写真家ともよく出会う。


  日本では味わえない快適なドライブ

 車の運転も快適だ。
 
 殺伐とした荒野、昼なお暗い森林の中、見渡す限り続く海岸、ひたすら真っ直ぐな一本道をただ一台の車が風をきって走る爽快さ。フリーウェイの制限速度は65マイル、104km。

 現地の車はかなりのスピードオーバーで疾走していて、私の車を追い抜いていく。


  はじめは少し緊張したが、運転に余裕も

 はじめてのレンタカー旅行は少し緊張した。しかし駐日米国西部6州政府観光局のUさんからいただいた懇切なご助言と詳しい資料のおかげで、それなりの準備ができたので、背中を押されるようになりながら、少しの勇気をだして思いきって実行した。
 
 最初の運転(ジャクソンホール空港からグランドティートンへの道)はどきどきと緊張したが、道路も車線巾も広く、前後に車が走っていないこともあって、15分程したら落ち着くことができた。
 
 準備は必要だが、案ずるより生むが易し、貴重な経験ができた。これに自信を得て、次第に運転の難しい場所(シアトルのI−5,I−405など片側5車線で全米10指の交通量の多い道路)をコースに入れて、幅広くあちこちの絶景を満喫している。 

おりおりの熟年生活(海外レンタカー旅行)