オーロラに出会う旅

(アラスカ・カナダを選択の理由)


 
「オーロラに出会う旅」は 2004年2月24日出発で予約を完了していたが、2月13日父が脳出血で入院・手術をしたため、旅行は中止した。

 オーロラ観測はその後の 
2005年8月〜9月 アラスカレンタカー旅行 (観測地 フェアバンクス)
2007年8月〜9月 ユーコン・アラスカ旅行
             (観測地 ユーコン準州 ドーソン郊外クロンダイク)
2009年8月〜9月 カナダ旅行 (観測地 イエローナイフ)
で愉しんできました。

 以下は オーロラ観測地にアラスカ・カナダを選択した理由や、2004年の旅行について、計画・検討した内容などをその都度記述したものです。


  旅行の発端

 2003年も押し迫った12月の27日、大掃除を済ませて一息入れながら、家内とNHKテレビの「南極と北極からのオーロラ」同時中継を見ていた。中継は南極の昭和基地と北極方面はスウェーデンのアビスコからだ。

 番組からは美しく神秘的な映像が流れてくる。その映像を眺めているうちに、家内が「オーロラを見に行かない?」と話しかけてきた。かねて私もいちどはオーロラを見てみたいと考えていたので、「行ってみよう」と直ちに話はまとまった。

 いつものように旅行の手配を自分で行いレンタカーで走ることも考えたが、凍てついた未知の夜道を走るのはいささか危険だろうと判断した。そこで今回は旅行会社のツアーに参加することにして、パンフレットを集めた。

 家内は「北欧に行ったことがないので、この際北欧でオーロラを見よう」との意見だ。またツアーで多くの方々とご一緒し、談笑することも久しぶりで楽しみだといっている。


 オーロラ観察の条件

 まずホームページでオーロラのことを調べた。

 オーロラ観察の条件は3点ある。
  ・ オーロラが発生すること(当たり前だ)
  ・ 降雪や曇りでないこと(できれば満月ではなく新月が望ましい)
  ・ 街の灯かりが影響しないこと

 オーロラ観察の時期

 オーロラは1年中発生しているのだが日中は明るくて見えないから、夜の長い時期、北半球では冬、9月〜4月が観察に適した時期だ。

 過去のデータをみると、その中でも 2・3月が見える確率が高いようだ。素晴らしいオーロラ(
Strong Aurora)が見える月は、3月が最高の率になっている。

 オーロラ観察の適地

 オーロラがよく現れる地域は「オーロラオーバル(オーロラ帯)」といわれる磁極を取り巻いたベルト状の一帯だ。 オーロラオーバル(オーロラベルト)の北半球の中心は磁北極で、そこから南の2,000〜2,500kmの帯状の地域がオーロラオーバルだ。

 それは地磁気緯67度を中心に 65〜70度にあたり、少しドーナツ状に取り巻いていて玉子のような楕円をしているのでオーバルと呼ぶそうだ。よく見えるのはその北側で、アラスカ半島の北端からハドソン湾、グリーンランドの南端を結ぶ帯状の地域だそうだ。

 オーロラオーバルの中にありかつ交通事情のよい場所は、北欧ではフィンランドやスウェーデンの中部、アラスカのフェアバンクス、カナダのイエローナイフ、フォートマクマレーなどがある。

 よく現れる時間帯は (地球の自転軸と地球の磁極がずれているので地磁気時間で測るそうだが) 地磁気時間の23時ごろから真夜中にかけてだそうな。

 地磁気時間の真夜中 0時は、キルナ(スウェーデン・アビスコの近く)は22時13分、イエローナイフ(カナダ)は1時48分、フェアバンクス(アラスカ)は2時13分となっている。

 オーロラ観察の主な時間帯は、北欧は夜半前、アラスカとカナダは深夜がベターということだろうか。時差を考えると日本時間で、北欧は明け方から早朝、北米は夕方から夜中にかけての時間だ。

 オーロラ爆発(ブレークアウト)は短期的には27〜28日周期といわれているらしい。過去から今日まで、毎日の状況を4段階で報告しているホームページによると、昨年の12月29日から今年の1月2日までは大変よく見えたそうな。


 旅行会社のパンフレットから分かったこと

 北欧方面
  ・ 添乗員同行、最少催行人員10名以上、観光地訪問、出発日限定

 カナダ・アラスカ方面
  ・ 現地係員対応、最少催行人員1名、観光地訪問なし、毎日出発

 3連泊したときの見える確率は、北欧方面は記載なし、アラスカ・カナダ方面は95〜98%となっている。


 行き先の検討

 これまでに調べたことから家内と相談して、「少なくともオーロラに遭遇する機会が3回以上あること、行ったことのない北欧方面、ツアーであること」との条件で検討することにした。

 はじめは、北欧3ヵ国 スウェーデン・ノルウェー・デンマークを周遊して、観光もしようと「オーロラ・ロフォーテン諸島・沿岸急行船」のツアーを考えた。

 しかしさらに調べていったところ、アイスランドやノルウェー沿岸はメキシコ暖流が流れ込んでいる影響で雲が発生し易く、オーロラを目的の旅行としては適切でないと判明した。(このためかノルウェーにはオーロラ観測カメラがないようだ

 フィンランドとスウェーデンの気象観測所のオーロラ観測カメラ(ASCカメラーALL SKY CAMERAの略)が、晴天率の高い6ヵ所に設置されていることが判ったが、その1ヵ所は先日見たNHKテレビの中継地「アビスコ」だ。

 アビスコは山間の地形と高度により晴天率が高く、人工の光源からシャットアウトされたオーロラウォッチング最適地との説明がある。

 アビスコへのツアーはなかったが、その近く「ビヨルクリーデン」に滞在し、オーロラ遭遇のチャンスが3日あるツアーが見つかった。早速ツアーを申し込もうとホームページを開いたが、予約画面は5日9時まで正月休みとなっていた。

 予約はできていないがオーロラに関するホームページを楽しもうと、各国の研究機関や観光局のホームページを開いていくうちに新たに次のことが分かってきた。

 3連泊しての可視確率だが、北欧の条件の良い地域で60〜65%、イエローナイフ 70%、フェアバンクス 75%だ。旅行会社のパンフレットとはいささか異なるなぁ。

 このため家内と北欧を変更しよう、宿泊は5泊しようかということになった。カナダは20年前にふたりで行ったはじめての海外旅行以来だから、イエローナイフではどうかと考えた。

 再びホームページを探していろいろと調査を開始した。

 アラスカ・カナダの検討

 イエローナイフでのオーロラ観察はロッジまで出かけて眺めるが、観察時間が1時ごろまでで、頻度の高い時間帯はホテルからになる。ホテルの近くからは人工の光が多くて見えにくいようだ。

 フェアバンクスもオーロラ観察はロッジまで行くが、観察時間が3時までで、ホテルの近くから撮影したホテルとオーロラの写真も掲載されている。ロッジは暖房やトイレが整備されている(イエローナイフも同様)

 アラスカ大学(フェアバンクス)
地球物理研究所がオーロラ予報を出しているホームページがあった。アラスカ地方の過去の発生状況と数日先までのオーロラ予報が掲載されている。
  Aurora Forecast

 続いて予報の見方のページを開く。
  The auroral forecasts categorize auroral activity as follows

 これによると、オーロラの標準的な活動状況のときは、フェアバンクスはオーロラを頭上に見ることができるし、その活動状況の日はかなり多い。フェアバンクスよりも条件が良いのは 
Fort Yukon だった。

 カナダの 
Whitehorse はフェアバンクスよりも条件が良い場合(オーロラが活発に活動する状況)でなければ、頭上にオーロラが見えないとなっている。

 オーロラ観察地・フェアバンクスに決定

 そこで最終的にアラスカ・Alaskaはフェアバンクス・
Fairbanks でオーロラを眺めることに決めた。気になるのはフェアバンクスの天候だ。フェアバンクスの気象予報のページを探した。
 フェアバンクスの天気予報・気温

 フェアバンクスに行くとなったら、アラスカ鉄道に乗車して冬のアラスカの風景やマッキンリー山の勇姿も眺めたい。

 2度の地球一周の出張でヨーロッパに向かう際に、飛行機が給油のために立ち寄ったアンカレッジ空港から見たマッキンリー山。その後ニューヨーク直行便になって、ニューヨーク・シカゴ出張の帰りの飛行機から見下ろしたマッキンリーとアラスカの山々が懐かしく思い出される。

 アラスカ鉄道のホームページを開く。冬季はアンカレッジ〜フェアバンクスは土曜日、フェアバンクス〜アンカレッジは日曜日運行、料金はひとり 125ドル(65才以上 84ドル)だ。(フェアバンクス発 8:30  アンカレッジ着 19:45)


 ツアーの予約

 ホームページで航空料金や宿泊代、5回分の現地申し込みのオーロラ観察ツアー代などをはじくと大体ひとり10万円ほどになる。後は食事代、それにアラスカ鉄道代だ。

 旅行会社のツアー代は 5泊で各社ともあまり違いはなく14〜16万円(オーロラ観察1回付き、食事なし)だ。

 まぁツアーの方が少し高くつくのだが、はじめに家内と相談したように今回はツアーで行くことにしよう。

 希望する条件は次のとおりだ。オーロラ観察のためのフェアバンクス宿泊が、新月の2月20日前後で 5泊、アラスカ鉄道乗車のためフェアバンクスからアンカレッジへの移動日は日曜日の22日。この結果出発日は2月17日となる。

 各社のホームページで予約状況を確認する。驚いた。調べた数社のツアーの 2月17日出発はどこも満員だ。前後の日も×がいくつかついている。新月前後はやはり人気があるのだなぁ。

 それなら窓口に出かけて状況をきき、予約することにしよう。パンフレットにアラスカ鉄道での移動について、チケットの予約手配をし、現地係員がホテルとアラスカ鉄道間の送迎対応をしてくれると記載してある近くの某社支店に出かけた。

 2月22日出発は航空機が満席ですから追加は無理です。片道22,000円多く支払うエコノミーの新しいクラスは空いていますとのこと。やむなく1週間後を予約することにした。。

 基本旅程以外にオプションとして1日の延泊(フェアバンクス合計5泊)とアラスカ鉄道を申し込む。アラスカ鉄道は ひとり18,000円 シニア割引は設定していない(他の旅行会社は20,000円だった)。それでよければこの場でOK。延泊は現地ホテルに確認後回答するとのこと。

 家内と打ち合わせた結果、今回はこのツアーを利用することにして、ホテルの予約を依頼した。

 旅行日が変更になり、かつオーロラ観察だけに絞らず、アラスカ鉄道の旅も追加した二兎を追う旅行になったのだが、オーロラにうまく遭遇できるだろうか。結果は天候次第(^_-)

 世界のオーロラ予報 (アラスカ大学 フェアバンクス 地球物理研究所)


 写真撮影(レンズの購入)

 オーロラの写真撮影について、どのようにすればよいのだろうか。HPを開きノウハウを集める。

 プロ写真家による「オーロラ撮影テクニック」を発見。大変に参考になる。また書店で立ち読みした発行中の「四季の写真」で、プロ写真家の田中達也氏も同様に、レンズは24mm・F2.0、ポジフィルムのISO感度を1600に設定、露出時間15秒と書いている。

 また別のプロはによると35mmまでの広角が必須。35mmは低く遠くのオーロラ撮影、近く頭上のオーロラ撮影は15mmとか魚眼レンズがよいと掲載している。

 撮影に失敗したとHPに掲載の方に問い合わせたところ、レンズ24mm・F3.5、ポジフィルムの感度800、30秒以上の露出では写らなかったとご返事をいただいた。

 私はズームレンズF3.5のものしかない。これではよほど明るいオーロラでなければ写らないのだろう。35mm・F2.0は持っているし、24mm・F3.5はあるので、20mm・F2.0の安い普及品のレンズを探すことにした。

 カメラメーカーやレンズメーカーのホームページを次々に開く。

 シグマ製で 20mm F1.8 が定価65,000円であった。カメラメーカーの純正レンズに比べると、4分の1程度の安さだ。とりあえずはこれで充分だろう。

 カメラ店をまわるが、どこも値引きして48,000円程度だ。

 もっと安く購入できないかとHPを探す。あった。富士カメラだ。37,990円で配送料金と代引き料金を加えても41,319円で入手できる。しかも即日配送手配で、佐川急便が担当、配送時間は2時間刻みで指定できる。

 まぁこの程度の出費なら、今後の撮影にも使用できるだろうからと、早速購入申し込みをした。


 防寒対策

 開田高原でー20℃はときどき経験しているが、アラスカの天候はもっと厳しいだろうから、相応の防寒対策がいるだろう。

 現地で 上下の防寒服・手袋・ブーツは滞在期間中 30ドルのみでレンタルできるそうなので、それはレンタルすることにして旅行会社から手配を頼む。

 耳は使用している帽子があるが、顔や鼻を寒さから守るものは購入して持参することにした。

 夜じーっと立っていると開田高原でも足元が冷えてくる。靴用のカイロを準備しよう。開田高原に出かけるので、その際木曽福島の店でなら売っているだろう。

 下着やフリースなどは開田高原で着用することがあるので、いま手持ちのもので充分だ。


 防寒対策(カメラ編)

 カメラの防寒対策は、開田高原でのしし座流星群の撮影(ー15℃〜ー20℃)で充分だったから、それを利用すればよいだろう。ただカメラを温め、レンズへの霜の付着を抑えるためのカイロは持参できない。

 しし座流星群のときは燃焼時間を調節できるベンジンのカイロを使ったが、ベンジンは航空機への積み込みは禁止になっているようだ。代わりのカイロを探しに登山用品店に行く。

 (後日聞いた話だが、現地でも入手できる”Zippo”のオイルライター用の燃料ならば、使用時間は多少短いが、使用可能だそうな。)

 炭を利用するカイロがあった。JAPANと記載があるものの、メーカー名の記載がなく、説明も英文だけだったがとりあえず「カイロ」と「炭」を購入、持ち帰ってテストすることにした。

 
価格はHot Solid Fuel pocket hand warmer 810円、 Hot solid fuel rods for pocket hand warmer (12本入り) 410円 だった。

 炭に火をつけるのはマッチ1本で済んだから、簡単だ。しかしベンジンカイロはベンジンの量を満タンにすると12時間以上も温かかったが、このカイロは6時間程度しか持たなかった。

 まぁ観察時間は5時間程度のようだし、延長するときは簡単に火がつくのだから充分に役立つだろう。


 観光資料の収集

 今回の旅行はオーロラ観賞が目的だ。観察は夜間から明け方になるから、昼遅くまで睡眠をとることになりそうだ。だから昼間に観光やアクティビティーを楽しむことはできないだろう。

 でもひょっとして観光できるかも知れないと、観光局のホームページを開く。

 アラスカ観光協会(日本語)
 アラスカ州政府 日本支局(日本語)
 フェアバンクス観光局

 アンカレッジ観光局

 「アラスカ観光協会」には日本語の観光資料があるだろうと考えて 「アラスカ・トラベルガイド」、「オーロラ」、「アラスカ鉄道」、「デナリ国立公園」の資料送付を申し込む。


 旅行予定日のオーロラの発生状況

 旅行予定日のオーロラの発生状況を
アラスカ大学(フェアバンクス)地球物理研究所のオーロラ予報で後日確認した。

 2月24日〜26日は標準的、27日は非常に活発、28日は活発となっていた。すてきなオーロラだったことだろう。次のシースンを期待しよう。

おりおりの熟年生活(海外レンタカー旅行)