ナラボー平原 ・ ブンダクリフ ・ ユークラ砂丘


  9月8日 (セデューナ〜ユークラ)


  天候 早朝 風雨激しい その後曇り 時に陽射し

 今日からナラボー平原をレンタカーで走破する。そこは「セデゥーナ Ceduna からは ノースマン Norseman までの1,287kmにわたる冒険だ。町などはなく、ロードハウスが129〜193kmごとにあるだけだ。」(NATIONAL GEOGRAPHIC誌)。私は見かけなかったが同誌によると「この先1,287km水の入手が不可能」と書かれた標識があるようだ。

 4:00過ぎに起床、今日は今回の旅行で一番の目的地「ナラボー平原」を走る。5:15出発、雨が激しい。一点から雨が線香花火のように放射して窓に吹きつける。初めての経験だ。ナンドゥローを過ぎたところで雨があがり、虹がかかる。7:15パーキングエリアにはいり虹を眺めて朝食。
 
 7:40パーキングエリアを出発、しばらく進むと、あたりは遮るものがない平原、360度どちらを向いても地平線が見える。低い丘すらない。初めて目にした、深い感動を呼び起こす景色だ。まもなく 「ナラボープレイン」 Nullabor Plain の標識を横目にするが先を急ぐ。

 9:00 ヘッド・オブ・バイト に到着。国道「A1]とわかれてすぐにゲートがあった。そこがYALATA ABORIGINAL LAND のためか、鯨保護のためか不明だったが、、A$6を支払った。舗装道路を14km走って駐車場に到着。

 徒歩数分の崖の上から くじら がすぐ近くに見えて歓声をあげる。これほど近くでみられるとはびっくりだ。親子の鯨が潮を高く吹き上げて、悠然と目の前を通り過ぎる。やや遠くでは水面に尾びれを出し、海面下に沈んでいく。右や左、正面、あちこちで泳いでいる。潮を吹き上げることもしばしばだ。間もなく今年生まれた赤ちゃんを連れて南極海に戻っていく時期だそうな。

 しばらくして右手の展望台に行く。 ブンダクリフ(大断崖) だ。断崖の先は遥か遠く霞んで見通せない。目もくらむ高さの絶壁は打ち砕ける荒波に立ち向かって毅然としている。まさに壮観というべきだろう。オーストラリア大陸が南極大陸と分離してできた垂直の断崖だ。地球のエネルギーの大きさと悠久の時間を思わずにはいられなかった。10:40ナラボー到着、給油。

 つづいて グレート オーストラリア バイト Great Australian Bight の第1〜6展望台 に行く。11:45 第2展望台着、さきほどのブンダクリフよりも高い断崖と群青の海がどこまでも続いている。言葉がでない。朝に降っていた雨の関係か薄く霧がかかっていて、あたりの風景が青白く妖しい雰囲気をかもしている。

 足元の断崖の先端には強風にさらされ、小刻みに揺れている赤い小さな花が咲いている。逞しい生命力に感動すら覚える。圧巻の絶景に見とれながら14:25第6展望台を離れる。大きな感激を味わい昼食は忘れていた、先を急ぐのでとうとう昼食は抜いたままだ。

 14:40 ボーダービレッジ Border Village に着く。左の写真はトランクも開けて、持ち込みOKの食料品かどうかの検査をうけている場面。15:00 ユークラ Eucla 到着。現地時間は14:15、西オーストラリア時間(13:30)とは異なる時間だ、要注意。モーテルを予約、夕食の時間は18:00〜19:00の1時間だけとのこと。

 モーテルの受付に ユークラの砂丘 の大きな写真が飾ってある。そこへの行き方を教えてもらい直ちにでかける。

 4km強のダート道を走り、電信所の廃墟そばに駐車、そこからは徒歩。電信所の廃墟横に立つと、大きく白い砂丘の山が目に飛び込んできた。観光客は廃墟跡から砂丘をみて引き返している。

 しかし砂丘の本当のすばらしさは、夕陽がつくりだす陰があってこそだと想像している。だから砂丘の山をめざして砂に足をとられながら歩いていった。突然砂丘の裏から、足跡のない砂丘の山の上にアボリジニ(原住民)が現れたので驚かされる。足跡を残しながら山の上をさっさっと横断して行った。

 砂丘と砂丘の鞍部を越えて海岸方向に進む。そこに見えてきた砂丘は、造型的な起伏、傾く太陽でつくられた陰影、風紋の織りなす神秘性,、微風に流される砂の躍動感、まさに極美の世界だった。

 夕陽が沈むまで眺めていたいが、自分の足跡が見えなくなると、車に帰りつきそうにはない。夕食の時間のこともある。後ろ髪を引かれる思いで、砂丘を後にした。明朝に期待を残す。

 スープ、ローストラム、サラダ、ビールの夕食。食後外にでると群青の空に星が輝いて印象的。朝晩は暖房が必要だ。

  本日の走行距離 557.1km (累計 2,510.2km)



9月9日 (ユークラ〜マデゥーラ〜ナラボー平原)

  天候  快晴

 起床5:00(南オーストラリア時間、以下同じ。現地時間では4:15)朝食をすませて、6:10 ユークラ砂丘に向けて出発。

 6:30 ユークラの砂丘 に着く。電信所跡の廃墟の上に月が輝く。日の出前に鞍部を越えようと先を急ぐ。薄明かりにグレー一色のモノトーンの美しい砂丘が目の前に横たわっている。柔らかい光が、砂丘を渋い柿色に染めあげ、次第に黄金色に輝く。一陣の風で絹のカーテンのような流砂が飛んでいく。息を飲みこみただみとれるのみだ。感動極まりない。8時過ぎ砂丘を後にモーテルに立ち寄り、8:45にユークラをスタート。

 「ナラボー平原」 の真っ只中、前方にまっすぐのびる一本の道路と、遥かな地平線を見つめながら、ただひたすら走る。オートクルーズをセットしているのでアクセル、ブレーキの操作は無い。ハンドルも直線なので手を添えて、動物の飛び出しに備えているだけだ。
 
 マドゥーラ Madura 到着直前の10:40反対車線を走ってきたパトカーに手招きで停車を指示される。スピード違反なし、ベルトは着用、何故停められたのかわからない。「ノープロブレム、ライセンス拝見」後は雑談。

 そのとき妻は"This would be a very good chance for us two to make memories here in Austrairia. Please join me in my picture."といったそうな。(私は英語はしゃべれないので、後から聞いた)  "Okey, No problem" となって2人の警官とパトカーも入った記念写真を撮影した。

  10:55 マドゥーラ 着。パースまでは1,249km、レンタカーのパース乗り捨てが出来なかったので、オーストラリア大陸横断を諦め、ここからアデレードまで来た道を1,456km引き返すことになる。うまくいけば 「メルボルン〜パース」 横断だったのだがなぁ。。引き返す距離の方が長いのだ(>_<)  昼食と給油をすませて、12:00出発。

 道路のカーブはたまにあるだけだが、いったい直線距離はどれぐらいかとマドゥーラをでてすぐのカーブから次のカーブまでを測ったところ39kmもあった。この直線道路を走行中、陽射しの関係か道路に逃げ水が見え、遠くのロードトレインはどれもこれも宙にぽっかりと浮かぶ、蜃気楼となって見えた。(帰国後調べたら逃げ水は路面の温度が上昇し光の屈折が複雑になることで発生する自然現象とのことだ)

 ユークラで一息入れて、ボーダービレッジに着くと、そこでRAA(日本のJAF)の車をみる。車のトラブル時ここまで救援にきてくれるのかと安心した。

 昨日に続き、再び 大断崖の展望台 を回る。太陽が西に傾き昨日とは異なる趣だ。断崖の肌が赤黒く、野生的で逞しくみえる。第4展望台から第3展望台に向かう道路からは、右手に水平線が見え、前方・左手・後方の地平線との対比が雄大な景観を構成している。

 17:00 第2展望台着、キャンピングカーが6台あり、断崖の上を散策している人が小さくみえる。聞くと今夜はここで夕暮れの景色をみて、そのまま宿泊するとのこと。おそらく絶景だろうなぁ。後ろ髪を引かれる思いで、ナラボーのモーテルをめざす。

 18:10ごろ日が沈みかける。このような平原での日の入りは、はじめて見る光景だ。車を降りて 「ナラボー平原の夕陽」 を眺める。はるかに遠い地平線に太陽が沈んでいく。最後は暗闇の空に、消えていく太陽だけが真っ赤になって見えた。

 既に夜の帷がおりてあたりは漆黒の闇、遠くからナラボーモーテル&ロードハウス入口のライトが灯台の燈の如く見えてほっと安心。18:40ナラボーのモーテルに到着した。夕食時間21:00まで、スープ、ローストポーク、サラダ、ビール、毎日ほぼ同じ内容の食事が続く。相変わらず暖房を入れる。

 本日の走行距離 585.8km (累計 3,096.0km)


  9月10日 (ナラボー〜キンバ)

   天候  午前 快晴  午後 雨

 5:00起床、朝食をすませ、朝日に輝く断崖・ブンダクリフを見るため、6:10出発、日の出は6:48。ヘッド オブ バイトの入り口に6:20に着くもゲートが下りていて、断崖までいけない。来た道をそのまま直進し、数キロ先に行き、日の出を見ることにした。
 
 「ナラボー平原 東のはじまり」 の標識のある所で車から降りる。月が群青の空に高く残り、草にはわずかに露がおりている。日の出の斜光に浮かび上がった早朝の平原の輝き、真平らな地球が自分をまーるく360度に囲む。はじめての経験で感激する。

 7:30モーテルに帰り着く。昨夜は暗くて気がつかなかったが、RAA(日本のJAF)の事務所がガソリンスタンドに併設されていた。車がとらぶっても丸1日待たなくてもよさそうだ。朝食後モーテルをチェックアウト。

 8:30 ナラボーのロードハウス横から小型機で 遊覧飛行 に飛び立つ。すぐに ナラボー平原 Nullabor Plain が遠くまで見通せる。遮るものがない。断崖の左手に向かうと、そこは海岸が白いきれいな砂浜になっている。海にでて 親子のくじら が潮を吹いて泳ぐ姿を眼下に見る。ひと目で30頭ぐらいか。

 旋回して 海上からブンダクリフ が見えたとき、陸から見た断崖とはまた印象が違った。その高さとどこまでも続く長さには本当に驚嘆してしまった。真っ白く波頭を立てた大きなうねりが断崖に打ち寄せては、砕け散って飛沫を高く跳ね上げている。 

 ナラボー平原
 はどこまでも平らで、樹木も小高い丘もないまったくの原野だ。一本の道がまっすぐに通っている。次第に高度が下がり大断崖が目と同じ高さ、真正面から間近に凝視した。地上からのながめとは迫力が全く違う。2名、200ドルで大変な興奮を味わえた。

 車にガソリンを給油後、 「ヘッドオブバイト」 に直行。飛行機から見るのとは違った風景だ。鯨は一昨日ほど海岸には近づいてこない。一組の老夫婦は椅子を持参して、ひがな1日この風景を楽しむと言っていた。10:45 ヘッドオブバイトを出発。アカザが道際に生えている直線道路をひた走り12:15ナンドゥローに到着。バーガーとコーヒーの昼食を、青空の外のベンチでとる


 13:00 ナンドゥロー発。妻が運転。あたり一面原野、行きは黒くみえた舗装が赤く見える。グリーンの草原に羊の群れ、近くに人が住んでいるのだろうか。故障したロードトレインに出会う。救援がくるまではケセラセラの心境かさっぱりとした顔つきだった。

 13:50 ペノング到着、トイレに立ち寄る。修理中だったが使わせてくれて助かった。ここで運転を妻から交代、14:20 セデゥーナに到着、検問所で簡単な食料検査。そこから2〜3分のオイスターファームで再び美味い牡蠣にありつく。

 セデゥーナ 出発ごろから小雨、キンバに近づくと台地が見え、下に見事な遠大な景色が広がってきた。行きには気づかなかった小麦のフィールドもある。同じ道を引き返しても風景は違うことを実感した。

 レンタカーをパース乗り捨てで借りられなかったが、異なる情景のナラボー平原や大断崖を堪能できて、結果的にはこの方が良かったように思える。

 18:00モーテル着、建物は道をはさんで2棟、1棟はモーテル、1棟はレストランと地域の集会所になっており、ろう球などのゲームで多くの人が楽しんでいた。スープ、オイスター、サラダ、ビールの夕食。南オーストラリア州はシーフードが新鮮で美味い。暖房入れる。

 本日の走行距離 638.8km (累計 3,779.8km) 

 おりおりの熟年生活(オーストラリアレンタカー旅行)