ル  ー  ト  6 6

ルート66  Route66

 ルート66 Route66 は社会人になったころを懐かしく思い出させる言葉だ。アメリカのテレビ番組「ルート66」が確かNHKで放映されていた。独身寮の食堂に集まった寮生がチャンネルを合わせる。まだ個人でテレビなど持っていなかったのだ。

 そこに映し出される光景は当時の私にとっては羨望の的だった。蛇口をひねるとでてくるお湯、壁にかけたオープンリールを操作して流される素晴らしい音響のジャズなどの音楽。アメリカの豊かさを
知り、日本にはこのような時代が来るのだろうかと思ったものだ。

 ルート66はシカゴとロサンジェルスを結ぶ旧街道で、現在は HISTORIC 66としてところどころに残っている。その中でも旧街道の趣を一番残しているのがニューメキシコ州からアリゾナ州にかけてだ。今回はその一部セリグマンからキングスマンまでをドライブした。

 ルート66は荒野の中を突っ切っている。たまに大木があるが、茶色い荒地の世界。山も遥か遠くに見えるだけ。爽快な走りのドライブ道だ。

 この道はライダーにとっては伝説の道になっているそうな。田舎道にもかかわらず大型のオートバイにまたがったライダーが颯爽と走り抜けていく。そこそこの年齢のライダーが多いのだが実に愉しげだ。

 ルート66に平行してレールがどこまでも続いている。鈍い音がして列車が近付いてくる。長い長い貨物車両を引いている。このあたりは物流の中心でもあろうか。めったに会わないだろうと思っていたら、いくつもの列車が右に左に走り抜ける。

 昔の面影を残したガソリンスタンドや商店。マリリン・モンローやジェームス・ディーンが入り口立っていたり、古びた車のバンバーに腰掛けたりしている。コーヒーを片手にした老人がなにやら話しかけてくる。

 商店の中も懐かしい商品で溢れかえっている。中にはセクシーな姿も。男性トイレの中は艶かしい姿の写真が壁と天井に隙間なくはられている。何もかもがごっちゃになった追憶の世界がそこに残されていた。

撮影日 2008.6.13
撮影地 セリグマン〜キングスマン アリゾナ州

アメリカ南西部旅行