グランドキャニオン国立公園ノースリム
    Grand Canyon National Park North Rim


 6月3日  晴れ

 グランドキャニオン国立公園ノースリム Grand Canyon National に向かってレンタカーを走らせる。夕陽の中でどのような峡谷が見られるのか期待が膨らむ。

 国道89号の Antelope Pass を過ぎて、ジャンクションから国道89ーA号に入る。荒れ果てた荒野の一本道でアップダウンが激しく路肩がない。それでも国道だ。制限速度は65マイル、105kmだ。

 16:10 ビューポイントがあったのでしばし休憩。再び走り出してすぐに針葉樹の森になった。16:30 ヤコブレイク Jacob Lake で給油。ここから公園入り口までの道は印象的だった。

 美しいアスペンの森林だ。薄緑の若葉と真っ白な幹、太陽が斜めにあたり、きらきらときらめく。白樺よりも木肌が白い。グランドキャニオンノースリムに続く道は、すてきな高原で本当にきれいな景色だった。

 17:20 グランドキャニオン国立公園ノースリム Grand Canyon National Park North Rim 入り口、17:45 ビジターセンターに到着。車を駐車場に入れると、直ちにブライトエンジェルポイントに向かった。

 18:00 ブライトエンジェルポイント Bright Angel Point の先端に立つ。巨大な峡谷が目に飛び込んできた。20年前にサウスリムから見て峡谷の壮大さに驚いたのだが、今改めて眺めるとその逞しい雄大さに目を瞠る。

 既に太陽は日中の強烈な陽射しではない。いそいで三脚をたて、カメラをセットし、写真撮影の準備を終える。

 太陽がゆっくりと右手の崖の向こうにに沈んで行く。岩壁の色の変化が美しい。太陽が雲の中に姿を消した。しばらくしてふたたび太陽が顔をみせ、色彩豊かな景色が現れた。感動的な瞬間だ。

 7〜8名の人が身じろぎもせず見とれている。静寂につつまれて時が流れていく。目の前の Brahma Temple や Zoroaster Temple が赤く輝く。光の芸術に酔いしれているうちに、ここからの景色は闇のなかに閉じた。

 19:20 狭い坂道をゆっくりとのぼる。途中から振り返るとまだ光が残り、オレンジ色のすばらしいが眺められる。突き出た岩の上に、雄大な景色に溶け込んだふたりの若者がいて、談笑している。素敵な出会いを写真に収めた。

 19:50 ロッジ内のレストランに行くが予約で満員。とりあえずロッジにチェックイン。部屋に行く途中、ベランダで肩を寄せ合って薄暗くなった峡谷を眺めている若者がいた。

 荷物を部屋に下ろした後、レストランの横にあるカフェに行き食事。しばらくハム、ジュースなど冷たい食事が続いていたが、ここでは暖かいスープやソーセージなどがあり、久しぶりにホットな夕食を味わった。

 22:00 就寝。  今日の走行距離  229km  累計走行距離  2,945km


  6月4日  晴れ

 4:15 起床。 4:40 グランドキャニオン国立公園ノースリム ブライトエンジェルポイントに行く。すでに三脚を立てて準備万端整えているカメラマンがいる。昨日もここで一緒だったソルトレイクから来たプロだ。私もその横で写真撮影の用意をする。

 一条の光が射してきた。Brahma Templeの後が明るい。 Brahma Temple や Zoroaster Temple はまだ暗闇に沈んでいる。対岸の南壁の上部が輝き出した。白い横に長い縞模様が浮かび上がってきている。

 朝の柔らかな光は、次第に下におりて峡谷の中腹まで照らしてきている。底はまだ暗い。光と陰影が鮮やかな対称となっていて、神秘的な壁面をいっそう引き立てている。

 6:20 カメラマンも私も撮影を終えた。カメラマンの名前とウエブサイトのアドレスをきき、握手をして別れた。彼は昨日と今日はグッドだったといっていた。ロッジに帰るトレイルを歩きながら何枚かの写真を写した。

 7:20 朝食。その後ロッジ前の展望台に行ったり、周辺のトレイルを散策。9:10 チェックアウト、ロッジを出発、ノースリムのビューポイントに向かう。

 朝のやさしいひかりが、アスペンの新緑や白い肌を引き立てる。気持ちのよい爽やかな高原。森の中の一本道を進む。

 まずはじめにケープロイヤルロードを先端まで行くことにした。10:00 Cape Royal area に到着。岩のアーチ エンジェルウィンドー Angels Window とキャニオンがみえる。さらに歩いて Cape Royal へ。雄大なキャニオンがひろがった。

 Cape Royal はキャニオンの中に突き出た断崖に囲まれた場所だ。眺望がよく遠くまでみとうせる。川の流れも見える。峡谷を上空から眺めている印象だ。若い女性が岩の先端に座り、遥か遠くまでみえる峡谷をいつまでも眺めていた。

 11:10 ケープロイヤルを離れる。 ルーズベルトポイント Roosevelt Point では対岸 イーストリムの上部が見え、砂漠 デザートビューだとわかる。

 小さな湖 Greenland Lake が樹木の間からちらっと見える。やっと1台が駐車できる路肩を見つけて駐車する。

 歩くこと30秒、湖畔だ。周りの新緑を湖面に映し、美しい。湖畔一面に白と紫の可憐な花が、足の置き場もないほど咲いていた。おそらく立ち寄る人は少ないのだろう。ひっそりとした隠れた穴場だった。

 ポイントインペリアル Point Imperial に行く。ここは高度 2,684mでグランドキャニオンのビューポイントでは最も標高が高い所だ。ここからも対岸のイーストリムの デザートビューが、遥かに遠く地平線まで続いているのが見通せる。

 ここのトレイルは白い花をつけている樹木の林を歩く。可憐な花もところどころ咲いていて、穏やかな風景だ。リスが何尾も走りぬける。足元に尖がった岩山 Mount Heyden が見える。

 12:10 ポイントインペリアルを出発。グランドキャニオン国立公園 ノースリムリムからの眺めはこれで見納めた。アリゾナ州道67号を走り、13:20 ヤコブレイク Jacob Lake に到着。ヤコブレイクインで昼食と休憩。

 国道 89−A から国道 89号に入り、グランドキャニオンサウスリムに向かう。アリゾナ州道 64号でコロラド川が直ぐ下に見えるシーニックビューに停車、川の上には沢山のみやげ物店が並んでいた。

おりおりの熟年生活(アメリカ中西部レンタカー旅行)