デスバレー国立公園・フーバーダム Death Valley National Park 


 5月29日  晴れ

 デスバレー国立公園 Death Valley National Park の灼熱の熱さを体験する日だ。ドライブ中にレンタカーのエンジンが焼けきれないことを祈る。

 5:30 起床、シェラネバダ山脈が遠くに見える。身支度を整えて 6:45 モーテルを出発。カリフォルニア州道198号からカリフォルニア州ハイウエイ99号に入る。ラッシュアワーでもの凄い通行量だ。キョウチクトウが道の両脇に咲いている。右手の鉄路を長い長い貨物列車がとおり過ぎて行く。

 ハイウエイ99号を降りて、ベーカーズフィールド Bakersfield の街へ。8:35 マクドナルドを見つけ車を停める。スープ、サラダ、ホットドックで朝食をすませる。サラダは1ドルで量が十分、ドレッシングも付いていて、この後も何度か注文した。食後、昼食用のホットケーキなどを購入して、 9:30 出発。

 車は シーニックロード カリフォルニア州道178号を走る。オレンジの木がどこまでも続いている。川のほとりに沿って道路がある。

 道路には護岸はなくて自然のままだ。道路は狭く路肩もない。10:00 追い抜き用のスペースを見つけて車を寄せて停まった。手早く新緑と川を写真に写した。

 左手に見える湖 Isabella Lake を過ぎてほどない 10:40 Onyx で7〜8名のカーボーイが牛を追い立てているのに出会う。道を横切っていくので、通り過ぎるまでしばらく時間がかかった。

 11:35 極く短距離だがカリフォルニア州道14号に入る。 再び178号になったところが Inyokern の小さな町だ。 11:40 給油のためガソリンスタンドへ。いよいよ灼熱の地が近い。よく冷えた水とジュースを買い込む。

 給油にもたついたので少々時間がかかった。12:20 再び走りはじめた。 12:45 道路が下り坂になったとき、水が蒸発してしまったドライレイクの Searies Dry  Lake が見えた。塩が白く一面に広がっていてた。初めて見る風景だった。

 このあたりから熱さが全身に吹き寄せてくるようになった。どこかで昼食にしようと思うのだが、陽射しをさえぎるものがまったく見当たらない。乾いた砂と強烈な太陽の光線だ。

 13:15 やむなく車の中で食事となった。あたりは荒涼とした景色で、車からでると熱風が下から吹き上げてくる。しかし乾いた熱さで汗はでてこない。13:50 前進を開始。

 砂漠の中の長い長い直線道路を走る。途中で デスバレー国立公園 Death Valley National Park の標識があったので記念撮影。太陽がジリジリと照りつける。とにかく熱い。物音がまったく聞こえない静寂の世界だ。

 カリフォルニア州道 190号に入ったところ、道の脇に小屋があった。公園入場料はそこに立ち寄って払うようにと掲示されている。他の国立公園は道の真ん中にゲートがあり入場料を徴収しているのだが。小屋に行くとひとはだれもいなかった。

 殺伐とした景色だが、何か惹かれるものがある。途中で車を止めて写真を撮ろうかと思ったが、このようなところだから、ビジターセンターでいろいろと話を聞いてからにしようとひたすら車を走らせた。

  DIP の標識に続く道路は、かなり急なアップダウンの繰り返しだ。ちょうどジェットコースターにのっている気分になる。角度の急な上りでは窓から見えるのは青空だけで、この道は天国に続いているのかと思われた。

 急坂であえぎながら上る車は、右に寄って道を譲ってくれた。路肩でボンネットをあげてエンジンを冷ましている車も見かけた。デスバレーに行くなら出力の小さい車は避けたいときいたが、本当にそのとおりだった。

 15:55 ファーネスクリークビジターセンター Furnace Creek Visitor Center に到着した。センターの入り口にある寒暖計を見ると、50℃だった。センターで日本から来たツアーの団体に行き会った。

 僅かな話しかしなかったが、今朝ヨセミテを出て、セコイア・キングスキャニオンを訪れ、デスバレー経由で今日中にラスベガスまで行くとのこと。走行距離は900km、われわれ夫婦は途中2泊するところを。これには仰天した。デスバレーはビジターセンターに立ち寄るだけで、後は車からは降りないとのことだった。

 ビジタセンターで観光ポイントを教えてもらった後、ホテルにチェックイン。部屋は冷房が効いていて快適だ。いっぷく後、夕方の砂丘がお勧めとのことだったのででかけることにした。後ろの出口からホテルをでると、手入れの行き届いた緑あざやかな芝生だ。スプリンクラーで散水している。灼熱のゴルフ場でプレーする人はどんな人かと思いをめぐらせた。

 17:00 Sand Dunes に着く。白い砂丘がある。熱さが厳しいので妻は車に残るそうな。ひとりで砂丘に向かう。熱さと烈風でなかなか前進できない。やっとの思いで砂丘の先端にたどり着き1〜2枚シャッターを押す。風に背中をむけてレンズ交換をするが、カメラの中に微粒子のように細かい砂がはいってしまった。

 曲線の美しい砂丘が幾重にも連なっている。足元の風紋も見事だ。今まで輝いていた太陽は大きな雲の中に隠れてしまったが、日没まではまだ間があるので、再び雲間から顔をだしてくれるだろう。

 さらに進んで行こうかと考えたが、なにせ熱く風が強い。これ以上砂丘にかかわれば、ほんそこにある車まで帰りつくことも覚束ないのではないかと思われてきた。これからが夕陽に照らされた陰影と光の砂丘が見られるのだが。無理をしてはだめだ。引き返そうと決めて歩き始めた。

 車はほんそこなのだが、なかなか行き着かない。軽い頭痛のようなものを感じる。必死の思いで足を運ぶが、砂に足をとられ思いどうりに運べない。18:00過ぎにやっとのことで車に着いた。

 私の様子を見ていた妻が車から降りてドアーを開けてくれ、転がりこんだ。とにかく水がほしい。ごくりごくりと大量に飲む。落ち着いてきたが頭がいつもとは少し違った感じだ。熱射病の一歩手前だったかも知れなかった。

 落ち着きを取り戻したので 18:30 妻の運転でホテルに向かった。しばらく涼しく冷えた部屋に入って体調を整え、レストランへ行った。そこの料理はステーキだけのようで、量も多そうだ。軽食のビュフェもない。仕方がないのでストアーで食料を購入して部屋で食べることにした。

 ストアーでデスバレーの帽子を購入。イエローストーンで購入のお気に入りの帽子を昨年夏、御嶽山で風に飛ばされて失ったので、その後釜だ。

 22:00 就寝

 本日の走行距離  612km  累計走行距離  1,448km



  5月30日  晴れ

 4:40 起床。 出かけようとホテルの外にでると、まわりの木々の枝が風にそよぎ涼しく感じた。5:50 ビジターセンターで早朝が美しいと教えてくれたデスバレー国立公園のビューポイントに向かう。

 6:10 ザブリスキーポイント Zabriskie Point に着く。駐車場からすこし上った展望台から黄色の山ひだが見える。しばらくすると太陽があたり、あざやかな黄金色に輝いた。太陽が高くなるにつれて次第に気温があがるのが実感できるのには驚いた。6:35 次のポイントに向かう。

 7:05 ダンテス・ビュー Dantes View に着く。標高 5,475フィート 1,669m、急坂と最後は急カーブの道だった。海面の高さから一気に上ったのだ。

 展望台からは、山脈にかこまれたデスバレーが一望だ。前方の山脈と手前の黒い山陰に挟まれてバッドウォーターの白い塩が広がっている。見事な眺めだ。高度と谷間があるためだろうか、風が涼しく心地よい。

 展望台のまわりには高山植物やサボテンの赤い花が咲いている。昨日みた死の世界からは想像できなかった。8:00 展望台を離れる。

 8:30 Wrangler Steak House でビュフェの朝食。痩せこけたコヨーテが力なく5m先をゆっくりと歩き去って行く。餌がすくなく厳しいのだろうなぁ。

 9:55 ホテルをチェックアウト。ビジターセンターに行き塩の上に立ちたいので場所を教えてほしいとたずねる。少し沖では、ひとが下に潜り込んでしまい、年に数名の人が亡くなっているので気をつけること。また水を大量に持参することと強く注意された。

 すぐ近くの教えられたところに行くが塩までの道が見当たらない。たまたまレンジャーが来たので、聞いたところ無理だとのこと。レンジャーは朝家をでかけるときに水を1リットル飲んできたと笑いながらいっていたっけ。

 10:40 給油をして、州道190号から分かれて州道178号を バッドウォーターに向かったが、道路工事中で中に行くことができないとのこと。途中から アーティストパレット Artists Palette に向かい11:10到着。 悪路だった。

 11:45 悪魔のゴルフ場 Devil's Golf Course に。塩と泥が混じった塊が一面に転がっている。そこまでの途中の道が塩だけで白くこちらの方が印象的だった。

 12:15 バッドウォーター Bad Water に着いたが、やはり道路工事中。駐車ができないのでやむなく通過した。塩原がそばなのに、その上に立てないのだ。しばらく行った場所で道のすぐ横が塩の平原になった。車を道端に寄せて停車した。

 12:35 広大な塩原の上に立つ。真っ白な塩原は縞模様を描いて、どこまでも続いている。足が塩に潜る。ぬるっとした不思議な感触が足裏に伝わる。太陽の照りつけが強烈で、人間の日干しになりそうだ。ここは西半球で一番低く、海抜マイナス85mだそうな。

 不可思議な風景の中、アップダウンのきついカリフォルニア州道178号を進み、Salsberry Pass 1,010mに到着。右手や後ろを振り返り 灼熱地獄・デスバレーの景色を今一度眺める。前方は広々とした穏やかな風景で、あまりの非対称が印象に残った。

 13:55 シュショーニ Shoshone に着き、カフェで昼食。14:45 フーバーダムに向かう。暑さは厳しいが、デスバレーとは格段の違いだ。

 カリフォルニア州道127号を走り、国道 I−15にのる。制限時速は 75マイル 120km。州道146号から、国道 95号、国道 93号と進む。

 17:10 フーバーダム Hoover Dom に到着。フーバーダムの手前の国道 93号では、大勢の警官によるものものしい検問があった。検問の入口は4ヵ所もあったが、車体の下やトランクなどを丁寧に調べるので、長い行列ができ通過に時間がかかった。

 すでにダム見学ツアーは終了していたが、ダムの堰堤上を歩いたり、ミード湖を見物することはできた。ここでカメラに最初の異常が発生し、その原因追求に時間をとられた。

 18:35 ダム近くの ボルダーシティー Boulder に、ベストウエスタンのモーテルを見つけた。宿泊料金はシルバー割引でお願いした。近くに食事のできるところはないとのことなので、モーテル横のストアーで夕食を購入。

 20:30 少し早いが就寝。

 今日の走行距離 430km   累計走行距離 1,878km

おりおりの熟年生活(アメリカ中西部レンタカー旅行)