デナリ国立公園 2 (9月2日)

    シャトルバス利用ワンダーレイク往復11時間のツアー

    天候 快晴

 今日はデナリ国立公園 
Denali National Park & Preserve  内をシャトルバスに乗りワンダーレイク Wonder Lake 往復の予定だ。マッキンリー山 Mt. McKinley の全容が見られるだろうか。昨晩は就寝時に雨が降っていたし、天気予報も芳しくはなかったが。

 4:10 起床。カーテンを開け窓の外を見る。星がきらきらと輝いている。上空の雨は上がっているようだが、離れた地域はどうだろうか。モーテルの外にでてみた。おー寒い。厳しい冷気に思わず身が縮む。

 空を見上げると満天に数え切れない星だ。遠くの山の峰が星明かりにはっきりと浮かぶ。今日は新月の一日前で月明かりはないが、星だけでかなりの明るさだ。

 シャトルバスは左側の一番前の席が良いらしい。シャトルバス乗車記のウエブサイトはどれも判を押したように同じことが記載されている。だから早や目に並ぼうと食事や身支度を急ぐ。

 5:40 車のエンジンを始動。しかし車のガラスは全て霜に覆われている。しかも手袋をして払い落とそうとしたが全くダメ。見かねたのか隣の車の男性が霜取りの用具を差出し、このように使用すると教えてくれた。日本の用具とは違ったが、頑固な霜が簡単に落とせた。私が使い終わるのを待っていた親切な夫婦に感謝とお礼の言葉をそえて用具を返した。

 6:00 モテールを出発。 6:17 デナリ国立公園のシャトルバス乗り場ウィルダネス・アクセス・センター 
Wilderness Access Center に到着。建物の中に入ると既に数十人以上の人が厚着をし、リックを持って愉しそうに談笑している。

 乗車券発売状況の掲示板には、明日のワンダーレイク行きは朝の1〜3便は満席との表示。早朝のワンダーレイク行きは人気が高いと聞いてはいたが、当日では乗車券は手にできないようだ。

 バスの乗車は外の乗り場に並んだ順だ、と全員に向かってセンターの男性が話をするが、余りの寒さのためか外に出る人は少ない。私と妻は折角だから予定とおり良い席に座ろうと外にでた。

 ワンダーレイク行きの前には既に2組の夫婦が並んでいる。大きなカメラ機材を足元に置いて。しまった!もっと早く来なければだめだったか。トクラット Toklat 行きに並ぼうとした女性が凍てついた道に足をとられてころんだ。厚着をしてきたが外で待つには寒さが厳しい。

 前の山が赤く染まってきた。モルゲンロードだ。その美しさに寒さを忘れてしまう。次々とバスがくるがワンダーレイク行きは来ない。係の男性が交通渋滞に巻き込まれて遅れているとジョークをいったら、皆笑い声をあげて愉しそう。雰囲気がなごやかになった。

 6:45 出発時刻にバス到着。前の2組の夫婦は後の席に行く。左の一番前はあいたままだ。家内とよかったねとうなずきながら、リックを足元に置いた。そこは荷物を置く棚がなかったので、大きな機材をもっていた前の夫婦は、それを嫌ったのだろうか。

 センターの男性から、シャトルバス乗車中のことについていくつかの注意と説明。女性のドライバーが人数を確認。シャトルバスは小型のボンネットバスだ。

 6:53 デナリ国立公園シャトルバスはワンダーレイクに向けて発車。タイガの森・常緑針葉樹林帯の中を進む。しばらくすると樹木が低くなり、一面はワイルドベリーの紅葉がひろがる。バスは左側の駐車スペースに入り停車。ドライバーが前方右手の白い山を指差し、あれが マウント・マッキンリー 
Mt. Mckinley だと。皆カメラを下げてバスを降りた。

 ここは公園入り口から約11マイルの距離だ。写真で見覚えのある南峰と北峰の並んだ独特の マウント・マッキンリー Mt. Mckinley の眺めだ。

 マッキンリー山は手前の山よりは遥かに遠い。それでもその白い雪の山は手前の山よりも一段と高く威風堂々、存在感のある姿をしている。さすがに偉大な山といわれるだけのことはある。こんなに早くマッキンリーが見えるとは思ってもいなかった。

 ワイルドベリー類の紅と黄、オレンジ色のカーペット、針葉樹の緑、真っ青な空、豊富で鮮やかな色彩。デナリ国立公園の秋は今が最高の風景を見せているようだ。窓の外の美しく移り行く風景に、早くもこころをうばわれてしまった。

 しばらく走ると サベージ・リバー Savage River が見えてきた。朝日に照らされてきらきらと光を放つ。 変化に富んだ風景が楽しめる。この辺りからマッキンリーは見えなくなった。

 7:26 サベージ・リバー・チェックステーション 
Savage River Check Station(入り口から14.8マイル) に到着。一般車両はここまでしか通行できない。ここから奥はシャトルバスや許可された車だけが通行できる。

 レンジャーがバスに乗り込み、動物とであった時のこと、動物を観察するときのこと、シートベルトを着用することなどを説明。その後人数を確認。やっとバスは発車、ここからは砂利道となった。

 7:45 針葉樹の中をバスは走る。ところどころに小さな池、どの池にも氷が張っている。水面からは霧が立ち昇る。針葉樹の下はベリーの上に白い雪がまだら模様にのっていて彩を添えている。

 今朝は晴天で放射冷却になり、厳しい寒さになったのだろう。夜の間に雪も降ったのか。バスの中にもかかわらず殆ど全員ダウンジャケットを着たままだ。8:00 バスストップ 数名の乗車。これでボンネットバスは満席になった。

 8:07 テクラニカ・リバー休憩所 
Teklanika River Rest up(入り口から29.0マイル) に到着。トイレをはさんで駐車場と反対側に テクラニカ・リバー Teklanika Riverを望む展望台。川と山並み、針葉樹が一体となってすてきな景色となっていた。 8:22 休憩終了、バス発車。

 
8:31 イグルー・クリーク Igloo Creek ですとアナウンス。視界がひろがる。突然停車、運転手が右手の崖の上を指差し、双眼鏡を目に当てる。ドールシープの群れだ。白い小さなものがゆっくりと上にあがって行く。

 バスは次第に高度をかせぎだした。セーブル・パス 
Sable Pass(標高1,800m)を通過、前方にマッキンリーの山頂らしきものが見える。その後バスは坂を下っていく。

 9:13 ポリクローム・パス・オーバールック休憩所 
Polychrome Pass Overlook Rest up(入り口から46.3マイル) に到着。ここは標高1,000mと高度は低いが最も人気のあるビューポイントだ。

 道の左は高度差のある崖、崖の下は網目のように流れる幾筋ものトクラットリバー 
Toklat River と広大なツンドラの大地、遠くには雪をいただいたアラスカ山脈の峻険な高山が続く。すばらしい景色だ。

 道の右の急な崖をのぼる。広くはないが展望台になっている。ひんやりとした風が顔にあたるが冷たくは感じない。バスを降りてすぐに見えた風景とはまたひと味違った雄大さ。マウントマッキンリーは見えないが、いずれの山々も山頂に白く雪がつもり、その容姿は美しい。 9:32 出発。

 バスは走り出して直ぐ停車。狼4匹いると。目をこらしてみたが私達夫婦には見えなかった。それをみかねたのだろう、隣に座っている男性が双眼鏡を貸してくれた。 9:43 再び停車。2頭のグリズリーが熟したベリーの実をたべながら移動していく。肩の筋肉が盛り上がり立派な姿だ。

 続いてカリブーが3頭。角が見事だ。ベリーの紅葉の中悠然と右の方に歩いている。グリズリ-は一心不乱に食事をしていたが、カリブーはもう満腹しているのかな。ただゆっくりと歩いているだけだ。

 10:05 トクラット・リバー休憩所 
Toklat River Rest up に到着。広い川原を利用している。カリブーの角が何組か置かれていて、それを頭にかざして記念写真を写す人がいる。

 前方の山の中遥か上にブラックウルフがいると見上げている人がいる。何度かその方向を指してもらったけれども残念ながら発見できなかった。 10:15 最後の休憩所 トクラット・リバー休憩所を出発。

 10:47 ストーニ-・ヒル 
Stony Hill(入り口から61・0マイル) をやや下がった道端に停車。標高1,370m マッキンリーを眺める最高のロケーションといわれている。

 正面に大きく雄大なマウント・マッキンリー 
Mt. McKinley が現れた。威風堂々とした全容がはっきりと見わたせる。紅や黄の絨毯の先に全山白く雪におおわれた姿の美しい山が聳えている。全員バスから降りて記念撮影に余念がない。 10:57 急かされるようにしてバスに乗る。

 動き出して直ぐに フィッシュ・クリーク 
Fish Creek グリズリ-がゆっくりと食事中。11:12 アイルソン・ビジターセンター Eielson Visitor Center (入り口から66.0マイル、05年と06年は改装工事のため閉鎖中) を左に見る。マッキンリーは左手前方にいつまでも見えている。

 カリブーが左に見える。道路脇の小さな池にビーバーがのんびりと泳いでいる。気分がおおらかになっている。

 運転手が何か話ている。このバスの終点ワンダーレイクではマッキンリーは見えない。手前のワンダーレイク・キャンプ場からはマッキンリーが正面に見える。ここで下車して折り返してくるバスに乗車することができますと。

 ワンダーレイク・キャンプ場はこのデナリ国立公園内で最も美しい マウント・マッキンリー Mt. McKinley を眺められるすばらしいロケーションといわれている。

 12:20 ワンダーレイク・キャンプ場(入り口から84.0マイル)到着、乗客の大半が下車。多くは展望台のピクニックテーブルに腰掛けて、食べ物をだしていた。私はベリーの中をマッキンリーをみながら散策。澄みわたった空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

 13:05 折り返してきたバスに乗車。食事をしようとパンを取り出そうとしていたら、後方からストップの大きな声。鳥の大群がマッキンリーの中腹を横切って飛んでいく。あわててカメラをだしてシャッターを押した。

 14:30 大きなグリズリ-が道路を悠然と歩いて行く。バスはその後20mほどのところを、おずおずとついて進む。しばらくしてグリズリ-は右手の藪の中へ。ベリーの実を食べ始めた。

 14:50−15:05 トクラット・リバー休憩所。動物をときどき発見。イーグルがバスのごく近くを悠然と飛翔。はじめてイーグルを観察した。

 16:13−16:20 テクラニカ・リバー休憩所。何気なくみたトイレの屋根の上にソーラーシステムがのっていた。近くを歩くカリブーを見つけたりしたが、全員いささか疲れ気味、このあたりから動物には食傷気味の様子だった。

 17:25 ワイルダーネス・アクセス・センター Wilderness Access Center に帰着。愉しかった11時間のシャトルバスによるツアーが終わった。

 バスから先ほど見えたマッキンリーの全容は、まだはっきりとしている。余ほど大気が澄んでいるのだろう。これからは夕陽でいっそう美しい風景を観賞できるだろうと、レンタカーで サベージ・リバー・チェックステーション Savage River Check Station まで引き返すことにした。

 数ヶ所の駐車場に車を停める。ワイルドベリーの絨毯と亜寒帯針葉樹、昼間とは異なった色彩がひろがって、すてきな景色になっている。背景になる遠くのマッキンリーも近くの山も夕陽ですこし赤い。

 19:00 ビジター・センターの駐車場に車を入れる。5・6分後食事をしようと モリノ・グリル 
Morino Grill へ。19:00でオーダーストップだとのことで注文を受けてもらえなかった。

 ヒーリーに戻り食料などを購入。19:55 トーテム・インに帰着。食事をしながら家内と今日の愉しかったツアーのことを語らった。

 22:00 就寝


 今日の走行距離 87km   累計走行距離 1,261km

おりおりの熟年生活(アラスカレンタカー旅行)