デ ナ リ 国 立 公 園



 デナリ国立公園 Denali National Park & Preserve の観光に適した時期は、きれいな高山植物が咲き乱れる7月上旬と、ワイルドベリーの紅葉がすばらしい8月下旬だそうな。

 デナリ国立公園の8月末から9月の一週目はツンドラが赤く紅葉し、美しく豪華な絨毯を敷きつめたような風景になるとのこと。しかもこのころから、野生動物が冬に備えて活発に活動する時期でもある。

 この短い秋・わずかな期間が、デナリ国立公園 Denali National Park & Preserve の大自然を堪能するには最適のシーズンのようだ。

 私たちが デナリ国立公園 Denali National Park & Preserve を訪れたのは9月1日〜3日。そこで目にしたのは、観光案内書から伝わる以上にすばらしい景色だった。

 ワンダーレイク往復のシャトルバスに乗車したのは9月2日と3日。

 3日は雲ひとつない快晴の天気に恵まれた。8月や9月は、その全容が月のうち数日しか見えないといわれている マウント・マッキンリー 
Mt. Mckinley。大気が澄みわたり真っ白い雪のマッキンリー山の全容が一日中遠くに近くに眺望できたから、本当に印象深い旅行となった。

 デナリ国立公園の秋彩は実にすばらしい景色だった。公園入り口 ライリー・クリーク近くの道路から見下ろしたアスペンかバーチのさわやかな色合いの黄葉。

 朝日の柔らかい陽射しを浴びたワイルドベリーの深紅の絨毯。峻険な雪山 アラスカ山脈を背景に一面にひろがるツンドラ(永久凍土)地帯の赤いカーペット。太陽に照らされて赤い輝きを一層増すブルーベリーの葉。どれもこれもいままでに見たことのない風景だった。

 野生の動物を自然に観察したのはイエローストーン旅行のとき以来だろうか。グリズリーや雄と雌のムースは20mも離れていない近さで何度か遭遇した。カリブーのカップルやドールシープの群れも頻繁に現れた。

 ビーバーやイーグル、ライチョウも。バスツアーの終わりごろにはあまりに多くの動物たちを観察した疲れからだろう、近くにいなければバスストップの声はかけるなと。それほどたくさん動物に出会うことができたのだ。

 秋が訪れたデナリ国立公園の表情は実に多彩で豊かだった。

 9月3日 ワンダーレイク行きのシャトルバスに乗車。アイルソンビジターセンターの近くで途中下車。僅かな距離と時間だったが、マッキンリーを眺めながらツンドラ大地の紅葉の中を歩いた。

 人間はわれわれ夫婦のふたりだけ。グリズリーに遭遇するかも知れないのだが、そのような危険を忘れ去るすばらしい絶景の中を散策した。

 紅葉の絨毯がどこまでも広がるツンドラの大地に腰を下ろす。前方にマッキンリーとアラスカ山脈を眺め、澄みわたった大気を吸い込みながら、絶景の中でささやかな食事を済ませた。

 頬をひんやりとなでていく風も心地よい。マッキンリーの山頂が見えなかったものの贅沢な昼食のひと時だった。

 通り過ぎるバス、どの窓からも楽しげな笑顔を見せて、手を振ってくれている。こちらも負けずに大きく両手を振りかざした。大自然の中では、人間は本当にやさしくなるのだなぁ。
 

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