青蔵鉄道(青海チベット鉄道)  
               
                           
               
               

 雪を頂く峰々、地平線まで続く草原、緑の草を食む野生動物、七つもの世界一、「世界の屋根 チベット高原を行く天空列車」 この魅力的な言葉は、清蔵鉄道(青海チベット鉄道)を紹介するパンフレットの記事だ。

 青海省の西寧駅を夕刻に出発した列車は暮れかかる青海湖を臨みながら暗闇に溶け込む。深夜ゴルムド駅で高地走行の機関車に入れ替え、高度を一気に上げて昆倫山脈を走り抜ける。夜明けはココシリ自然保護区で迎えた。
 永久凍土に築かれた橋桁に向かう列車、いくつものカーブを蛇行しながら、力強く鉄道の世界最高地点をめざして上っていく。

 車窓から見えるのは雪や氷河に覆われた山並み、美しい風景がどこまでも続いている。ごつごつと険しい山、丸みを帯びた優美な山、変化に富んむスケールの大きな景色に釘付けになった。通路側の車窓はカメラを構える乗客が鈴なりだ。

 チベットロバや遠くにはチベットカモシカの群れ。長江の源流のひとつ トト河を渡る。凍ってはいるが水も細く流れていた。
   
       

 トト河は食堂車の大きな窓から眺めているうちに通り過ぎてしまう。その後しばらくは美しい雪景色を見ながら美味い朝食の時間だった。

 鉄道世界最高地点タングラ峠 5,072mを通過、広大な平原で峠の概念とはかけ離れている。その後は下りになるので速度が速まると聞いていたが、スピードが落ちてタングラ駅で僅かな時間だが停車。乗客は一斉にカメラを窓に向けて写真を撮った。粋な計らいに「写したよ」との声があちこちから挙がる。ゆっくりと音もなく列車は進みだした。ここまでは青海省、この先はチベット自治区チャンタン高原(チベット語で 北の平原)だ。

       
 交通の要衝 アムド駅で停車、大勢のチベット人がホームの後ろに向かって歩き硬座車に乗り込んだ。
 同じような景色に飽きが来たころ
ツォナ湖(黒い湖)の岸に沿って走る。名前とは異なり美しい青色の水だった。
 
 次々と現れる鉄道保安員が通り過ぎる列車に敬礼を送る。
 

 ナクチュ駅で停車、車外に出る。乗客たちも下りて疲れた体をほぐしている。再び発車した列車は次第に高度を下げていく。雪山のサムディン・カンサンやニェンチェン・タンラ山脈を最後に風景が変わってくる。緑の草原や樹木が点在するようになってきた。

 車掌がごみの回収にやってきた。キチュ川を渡る。丘の上のポタラ宮が遠望できる。快適だった「天空列車」の旅は間もなく終りを迎えた。


 清蔵鉄道の設備のこと

      軟臥車(上級寝台車)

 2段ベッド2列がひと部屋のコンパートメント ベッドは固定式で動かせないが硬臥車よりも幅が15cm広い75cm 長さ2m、寝具も快適だった。上段ベッドの通路側の上に4名の手荷物を置ける空間があり十分な広さがあった。但しポーターに運んでもらった13名のスーツケースは前後にあるデッキのうち、前方のデッキに積まれていて乗降はできない状態だった。


食堂車

 清潔で料理はツアー全員が美味いと評判はよかった。大きな窓から風景を満喫できるのも楽しみだった。

 また頻繁に食事や飲み物、スナックなどのワゴンサービスの販売がきていた 

 洗面台&給湯機 トイレ
 
 洗面台、トイレ、給湯機は車両のデッキ近くにあった。

 広州から30時間走ってきた列車だったが西寧駅で乗車した時はきれいな状態だった。翌朝使用が一段落した際も清掃していて乗車時の状態に戻っていた。また部屋のごみも午前中と降車前に回収していた。

 お湯のサービスは洗面台の横にあり、ポットに入れて部屋でコーヒーを飲んだ。

 軟臥車のトイレは洋式(写真)と中国式があり真空吸引式。トイレットペーパーはなかった。硬臥車と硬座車は中国式だけと聞いた。
   
 
     
   

 酸素マスク(使い捨て)は配布されなかったが全く不要だった。(車両に設置の酸素吸入口を使用している人もいなかった)

 加圧と温度調整がされていて飛行機と同じような快適さだった。

 窓は二重ガラスで、曇ることはなく常にクリアーな状態で風景を楽しめた。

 電源は 軟臥車のテーブルの下にあり、接続して旅の仲間はスマホを使用していた。

青海チベット鉄道とエベレスト眺望 ヒマラヤ山脈を越えて