北オーストラリア


2745kmのレンタカー旅行

バングルバングル(プーヌルル国立公園)

 2000年の年末に書籍で、バングルバングルの写真を初めて見た。それから後テレビでも数回放映されたが、その独特の風景は強く印象に残ることとなった。書籍の写真を見たときから是非訪れたいと思いながら、その機会が訪れることはなく今日に至った。

 3ヶ月前アメリカ旅行を中断して帰国した時、娘からメールが着信。夏休みの2015.9.11~9.20に合わせてくれるなら、どこでも行きたい地域に同行し、車も運転するよと。家内は所要があり日にちが合わなかった。そのため私と娘のふたりで、ふたりだけでは初めての海外旅行をすることになった。

 そこで私はかねて望んでいたバングルバングル(プーヌルル国立公園)観光に焦点を合わせ、同時にカカドゥ国立公園やキャサリン渓谷などの北オーストラリアをレンタカーで巡る旅行計画にとりかかった。

 現地の原住民アポリジニやこの地域の人しか知らなかったバングルバングルは、1980年代にドキュメンタリー映画の撮影隊が偶然上空を通過し、世間に知られるようになったオーストラリア最後の秘境。バングルバングルを含むパーヌルル国立公園は、1987年に国立公園に指定された。

 世界自然遺産 バングルバングルには、無数のオレンジと黒の縞模様に彩られた、ビーハイブ(蜂蜜の巣)と呼ばれる巨大なドーム状の奇岩群が立ち並ぶ。低空を飛ぶヘリコプターから眺めたストライブ模様は美しく、無数の岩と岩との間の空地は巨人の国の迷路かと思われた。

 レンタカーを借りて最初に訪れたのは 世界複合遺産 カカドゥ国立公園。その広さは四国に相当。公園内には広大な湿原があり、多くの水鳥が生息する。観鳥舎やクルーズで見た水鳥の、朝陽を受け、夕焼けの茜雲をバックに飛翔する幾つもの大群。点在するアポリジニの岩絵。ノーザンジーロックの頂上から眺めた熱帯雨林の森。いずれもこれまでの旅行では見たことのない景観だった。

 バングルバングルへ向かう国道1号線は、ベネズエラで出会ったサバンナと同じような風景。途中のティンバー・クリークからバングルバングル入り口のウオーマンまでは、サバンナに分布するバオバブの木が点々と続いていた。乾季の終わりに近かったので葉は落ちて枯れ木のような状態だったが、ズングリムックリとした太い幹の表情に惹かれて幾度か車を止めていた。

 ニトミルック国立公園(キャサリン渓谷)は険しく切り立ったオレンジ色の断崖が見どころだ。13渓谷の内2つの渓谷を巡る人気のディナー・クルーズで、高く聳え夕陽に照らされる断崖と深緑色のキャサリン川を楽しんだ。陽が落ちて群青色の空に何色もの星と天の川。空が澄み渡っているので、日本では見られない数の星々だった。

 リッチフィールド国立公園は、流れ落ちる滝の下にできたプールのような水の中で、泳いだり談笑したりしている人々が印象的だった。また数えきれない無数のアリ塚。中には5mもの大きなアリ塚があり驚きながら写真のシャッターを押していた。

 グレゴリー国立公園のルックアウトからの眺めは、アメリカ・グランドティートン国立公園のスネーク・リバー展望台からの眺めとよく似た印象だ。またアポリジニの岩絵がトレッキング・ルートの半ばで幾つかあった。

 キャサリンのスーパーでもらった発砲スチロールの箱をクーラーとして利用した。以前南オーストラリア州から西オーストラリア州に入るとき野菜や生ものを没収されたので、箱の中は差しさわりがなさそうな食料だけにしていた。ところが箱にブロッコッリーと表示があり、野菜が入っていたものは持ち込めないと没収。中の食料はひと品毎に車のシートに広げることになった。

 成田→ブリスベン→ダーウィンの往復航空券を購入したが、復路は往路の2.5倍の価格だった。帰途ブリズベン空港の搭乗口の前は人がいっぱい。大人に引率された10代半ばの、同じロゴマークだが色の異なるTシャツ姿の数グループ。飛行機は満席だった。

 帰途の経路が ダーウィン→ブリスベン→シンガポール→成田の航空券代は、上記復路の40%の価格。需要と供給の経済原則を改めて実感して旅は終わった。

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