レンソイス白砂漠  
               
                           
               
               

 レンソイス白砂漠について添乗員から詳しい説明があった。レンソイスとはポルトガル語でシーツの意味。白い砂は石英。内陸部から川で運ばれ海岸に堆積した砂が、長い年月をかけて波で磨かれ、硬い水晶と同じ成分の石英が残る。その石英が光を強く反射している。

 窪みにできるラグーンの水は下の層にたまっている地下水が、雨期に降った雨で水位が上がり石英の上に染み出してきたものと。

 2008年にNHKでレンソイスが放映されて以来、機会があれば訪れたいと希望していたが、やっと念願がかなった。しかしいささか残念だったのは、今年の雨期の降水量が少なく、そのため多くのラグーンには水がなかったことだ。

 まず飛行機でレンソイスを上空から眺める。白く盛り上がった砂丘と窪んだラグーンがきれいな模様になっている。多くのラグーンは水がなく茶黒い色だが、いくつかは濃いブルーで美しい風景を形成している。

 飛行機からは遠くまで俯瞰できるのだが、高度が少し低い。いま少し高く飛ぶとと白い砂とラグーンが作り出す縞模様がさらにはっきりとするのだが。

 翌日は徒歩でラグーンに向かった。砂は本当に純白だ。ラグーンは茶黒だが薄く浮いている水は青くきれいな色、光が当たると鮮やかななブルーが眼にはいる。

 広く水をためた幾つかのラグーンと白い砂丘との風景が実に美しい。写真を撮っていると、丘を越え先を行く一行が次第に遠く小さくなる。白い砂の上には、点々と続く足跡がひと筋に続く。

 水が深く青い大きなラグーンに到着。砂丘の陰で着替えを済ませ、ラグーンに入る。歩いて火照った足の疲れがとれる。30mほど先は腰ほどの深さ。ゆっくりと泳ぐ人も。 下段の左端が、そのラグーン。

 あら魚がいると女性の声。近づいてみるとメダカよりも少し大きめの魚が何匹かいる。しばらくしてまた魚のグループが足元にきている。テレビでも放送していたが、乾季には水のないラグーンで、どのように生きているのだろう。

 ラグーンから上がり砂の上に座る。詩的な風景が飛び込んでくる。眼を閉じる。静寂が訪れる。無音の静かな時間が経過する至福の時。世間のことは一瞬忘却の彼方へ去っていた。

 帰途につく。丘の上から見ると彼方に淡いふたつの影。足が長く長く伸び、体は短い。夫婦ふたりで手を振ると、影も手を振っていた。

 太陽が傾き始め、砂丘がオレンジ色に染まりだす。淡くグレー色の影や濃く黒い影。ラグーンの色も濃くなっていく。夕暮れの景色は一段と美しさを増していく。

 日没は丘の上から眺める。白い砂が徐々に変化し、色を失っていく。太陽が沈み、青く澄みわたった空に赤い光線が輝く。暗くなった砂丘に残るガイドの足跡をたどりスタート地点に戻りつく。念願のレンソイス観光は終了した。
おりおりの熟年生活(ブラジル ベネズエラ旅行)