ベネズエラとブラジルに広がるギアナ高地。今も人類未踏の地があり地球最後の秘境といわれる。ギアナ高地は3つの地域があり、その中心部にあるのがカナイマ国立公園だ。

 そこにはテプイと呼ばれるテーブルマウンテンが100ほど点在。それらの標高は2,000mを越え、高さは1,000m以上の断崖絶壁、それぞれが孤立したひとつの山だ。

 カナイマ国立公園で最大のテプイはアウヤンテプイ(原住民の言葉で「悪魔の山」を意味する)、標高2,560m、その切り立った断崖を山頂から流れ落ちる滝がエンジェルフォールだ。

 その豪快かつ垂直に流れ落ちる滝は落差979m、年間を通じて流れる滝としては世界最高の落差を誇る。あまりの落差に滝は途中で霧状の水煙となるから滝壺はないと言われている。

 しかし添乗員によると落下する途中に突き出た岩があって、そのために水が飛び散ってしまうと最近分かったと。なんだか詩的なイメージが壊れてしまう。

 訪れたのは雨期の真っただ中の8月。この時期は迫力のある滝が見られるが、雲で遊覧飛行が中止になったり、雲に遮られて滝が見ないことも多いとのこと。

 幸い私は2回の遊覧飛行と徒歩による展望台行きで訪れたが、3回とも天候に恵まれ、エンジェルフォールの全容を見ることができた。同じツアーの一行でも遊覧飛行で飛び立った時間が違う人は全容が見えなかったそうだから、本当につきがあったというべきだろう。

 初めの遊覧飛行はサンタエレナからカナイマへの移動途中。離陸後直ぐに白い雲に突っ込み何も見えない。とてもじゃないがエンジェルフォールは見えないだろうと諦めていた。

 幾つもの雲を通り抜けたら近くに大きなテプイ。パイロットがエンジェルフォールと指さして叫んだ。そのまま直進していく。エンジェルフォールの僅かに左を、しかもテプイに触れるのではないかと思われる高度で通過する。

 エンジェルフォールの全貌が見える。平らな台地に白い一条の川の流れが。断崖に達して滝となり豪快に落下している。機体の一部がカメラのアングルに入るが、この絶好の機会は2度とないかも知れないとそのまま急いでシャッターを切った。

 アウヤンテプイは周辺のテプイよりも高く、他のテプイから流れ落ちる滝はかなり下になっている。飛行機はエンジェルフォールを中心に数回旋回してくれ、この絶景をこころの奥深く刻み付けることができた。

 2日後再び遊覧飛行。今回も晴天。滝の真ん中に虹がかかっている。雨が降ったのだろうか。エンジェル・フォールの水量が多い。横から幾筋もの滝が出来ている。2日前には見られなかった滝だ。

 最初の遊覧飛行の翌日はボートと徒歩で展望台を訪れた。見上げた滝は大量の水を落としている。実に圧巻。しかし落下中に霧状になり、風が吹いて裾が広がり横になびいている。滝がいっそう大きく美しく見えた。

 エンジェルフォールを見るまでの旅程は非常にハードだった。しかしすばらしい風景をいくつも見て満足していたのだが、さらに旅の終わりにこれだけの絶景が見られて、今回の旅は大きな感動で締めくくった。

 アウヤンテプイ(悪魔の山)から流れ落ちると、エンジェルフォール(天使の滝)とは。偶然とはいえ面白いとりあわせだ。滝の名前は、金やダイヤモンドを探していたアメリカ人飛行士が滝を発見したことにより、彼の名前エンジェルさんから命名されたのだ。

 エンジェルフォール訪問の拠点はカナイマだ。カナイマには陸路では行けないうえ、定期の飛行機便もない。

 したがって飛行機で1時間ほどのプエルトオルダス或いはシウダーボリーバルからの現地ツアーに参加するか、またはセスナ機をチャーターするか。ふたつにひとつの選択でのみエンジェルフォールを訪れることができる。今も個人での訪問は困難だ。 

おりおりの熟年生活(ブラジル ベネズエラ旅行)