デナリ国立公園 ムースとグリズリー

 デナリ国立公園 Denali national park では動物たちの自然なままの姿を見ることができる。それは人間の手が加わらない本当の自然といえるものだ。

 動物達は間もなく訪れる冬に備えて体力を蓄える。秋のデナリはツンドラの大地がベリーの熟した果実であふれている。動物達にとっては労せずして食料にありつける天国の時期なのだ。

 ムースのメスがゆっくりと歩いている。大きな角を誇示したオスがこちらを凝視している。頭を持ち上げたままで食事をする様子はない。十分い食べて満腹さのか。それともバスを警戒しているのだろうか。

 秋は冬篭りするグリズリーにとっても、せっせと栄養を摂り、まるまると太る大切な時期だ。たっぷりと食事をしたこの時期のグリズリーは、一番美しく、毛並みが艶やかに輝く。

 たわわに実ったこぼれ落ちんばかりのベリーは、そのようなグリズリーにとって最大のご馳走。1日に何万粒も食べるそうで、近くにバスが停車しても我関せずと無心に食べている。

 前足で器用に枝を掻き分け、ベリーの実に口を近づける。表情は穏やかでやさしい。縫いぐるみを見ているようだ。顔を上げて口をあける。鋭い牙がのぞく。獰猛な表情になっている。

 次第にバス近付いてきた。ついにバスの車体に巨体が触れる。バスに沿って後方に歩き、斜面を下に遠ざかっていった。

撮影地 デナリ国立公園 アラスカ州
    Denali national park
撮影日 07.9.8

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