2007年 ユーコン・アラスカ レンタカー旅行

 第13日 9月8日 曇り一時雨(夜半風雨強し)

 夜半の風の音に目が覚める。かなり強い。4:30 起床 5:15 朝食。昼食の食べ物と水をリックに詰める。05年にデナリ・シャトルバスに乗った日に比べると数段温かい。ダウンジャケットを持参していたが不要と判断してトランクに片付ける。

 6:25 モーテル発。6:45 デナリ国立公園 Denali National Park の  ウイルダネス・アクセス・センター Wilderness Access Center に到着、駐車場に車をとめる。ここがデナリ国立公園内を走るシャトルバスの発着場だ。

 今日最初のワンダーレイク行きのバス予約を、既にWEBで済ませてある。カウンターで プリントアウトした Eーticket を提示してシャトルバス乗車の手続きを尋ねたら、そのチケットを運転手に見せて乗って下さいと。

 ワンダーレイク行き乗り場にはまだ誰も並んでいない。バス到着までの間、今日の行動について相談。途中で下車して少し歩く予定だったが、雨が降り出しそうな天候なので、バスから降りずに終点のワンダー・レイクまで行って折り返してこようと話がまとまった。

 7:10 バスが来る。シャトルバスの座席から見える風景は、左と右の座席では雲泥の差がある。往きは絶対に左の座席に座ることに決めていた。

 乗車開始、左の最前列の座席に同行の女性、2列目に我々夫婦が座る。運転手の女性から細々とした説明がなされ、皆注意深く聞き入る。この時点では空席があったが途中から乗り込んできた人々で満席になった。やはり朝一番のバスは人気が高い。

 7:20 ワンダーレイクに向けてバスは発車。タイガの森を過ぎベリーの紅葉が見ごろのツンドラ地帯に入ったが、曇り空のため眺めはいまひとつ。7:50 バスがストップ。大きな望遠レンズを構えた7・8人が道路の端にいる。カメラを構えた方向に、朝の食事に余念がないムースが3頭。雄の角が時々白く見える。雌は少し離れていく。

 8:00 サーベージ・リバー Savage River を渡ってすぐのサーベージ・リバー・チェック・ステーションで一時停止、レンジャーがバスに乗りひとことふたこと。ここからの道は舗装されてはいない。8:35 テクラニカ休憩所 で15分間の休憩。

 トイレを済ませて広い展望台に向かう。テクラニカ・リバー Teklanika River が流れ、遠くには小雨に煙る山の峰が黒く浮かんでいる。これはこれでなかなかの風景なのだが、つい05年の旅行と比較してしまう。

 テクラニカ休憩所を出て5分、山の中腹に1頭のグリズリーを見る。車内はいっせいにシャッターの音が響く。望遠鏡を覗く人も数名。

 曇り空のどんよりとした景色だが、それでもバスの窓越しにシャッターをきっている。やはり魅力的な風景だ。山に雪が少ない。このあたりまで来ると雪山になると思っていたが、まだ早いようだ。

 遠くの山の稜線に小さくカリブーガいるが、バスは止まらず。続いて谷あいにドール・シープの群れが現れるも、また非常に遠く目をこらして探す状態。
9:45 ポリクローム・パス休憩所、ここでも15分間の休憩。バスは順調に時刻表どおりの運行状況。

 10:30 トクラット休憩所、ここから先にはトイレがない。復路にこのバスがここに到着するのは4時間以上も後の予定。乗客のほぼ全員がいくつもあるトイレに散っていった。前の山の中腹にドール・シープがいるというのだが肉眼では見えない。同じバスに乗っている人が望遠鏡を貸してくれて、やっと小さく確認できた。10:45 発車。

 11:10 ストーニー・ヒル Stony Hill で一時停車。バスから降りて前方を眺めるが、見えるはずのマッキンリー山 Mount McKinley の山頂は雲の中に隠れている。この天候では仕方がないが、残念だ。

 11:30 突然バスは停止。右の斜面のほんのそこに食事中のグリズリー。全員興奮状態で窓際に。坂を下りながらベリーを食べている。家内が人混みの背後からコンパクト・デジカメで写していたら、前の人がそのカメラに2枚グリズリーを写してくれた。

 ぐんぐんとバスに近付いてくる。もう10mもない。大きく開ける口と牙、ベリーの枝を前足で掻き分けては実を食べる。自然のグリズリーの生態をこれほど近くで見られるたとは嬉しい話。

 ついにバスの横まできた。車体に沿ってバスの後にまわり、悠然とした態度で左の斜面を下り、消えていった。11:55 バスは人々の興奮を乗せて走り出した。

 12:10 バスが2台ほど駐車できる場所で一時停止。新しくできたようだ。雪山と強烈に鮮やかなベリーの紅葉が美しい。シャトルバスから眺めた風景では一番印象に残った。

 バスに乗車して間もない 12:25 バスの横 狭い隙間しかない道端を痩せた狐がすたすたと歩いていく。

 12:50 ワンダー・レイク Wonder Lake に到着。出発は 13:20 と告げられる。ワンダー・レイクが見えるところのピクニック・テーブルに座り持参の食事、湖とベリーの紅葉、それにアスペンが数本 白い幹が程よいアクセントとなって風景を引き立てている。

 バスは予定の時刻にワンダーレイクを出発、13:55 再び新しくできたらしい展望台で停車。記念撮影をしておこうと家内はカメラを取り出した。遠くにグリズリーがいるけれども、バスの中は静かなまま、シャッターの音はしない。

 新築中の アイルソン・ビジター・センターを過ぎたところでふたりが下車、雨が降っているのだが、どちらに向かうのだろうか。しばらくして遠くにグリズリーが2頭、大丈夫なのかなぁ。その後直ぐにムース。

 14:35 広々とした見通しのよいところに1頭の雄のムースが立ってバスの方を向いている。角が立派だ。首を下げたら幅のある角とわかった。5分ほど経過したとき、反対方向から来たバスから、そこに3頭のグリズリーがいると教えてくれたので、直ぐそちらに向かう。

 山腹の低いベリーの紅葉の中で、母親と2頭の子供が一心不乱に食事中。母親は子供にはかまわず食事をしているうちに、3頭は少し離れる。気づいた子供が母親の方に向って食べながら近付いていく。

 愛らしい光景に車中からはひっきりなしにシャッターの音が聞える。次第に山の斜面を上がり稜線の方に向いてはいるのだが、まだ近くにいる。このままでは何時までも停車していないといけないと判断したのだろう。頃合を見計らって運転手はバスを発進させた。

 3〜4分後の 15:10 トクラット休憩所に。20分後に出発。15:45 遠くにドール・シープ。皆見たようだが立ち上がる人はおらず、シャッターの音もしない。バスも止まらず。16:45 テクラニカ休憩所 17:05 発。18:15 ウィルダーネス・アクセス・センターに帰着。

 本日宿泊予約の ノーザン・スカイ・ロッジは前回旅行時に宿泊していておおよその場所は今でも思い出せるが、暗くなっても行き着けるように詳しい位置 マイル・ポストを知っておきたい。

 日本を発つ前にホームページで調べておけばよかったよと、国際ローミングの携帯電話を取り出すが圏外と表示がでる。前回の契約会社は今回と異なったが、通話できたのに。

 センターの外に設置されている公衆電話に料金を入れるが、通話できず。18:40 センターを離れ パークス・ハイウェイ A−238Miから北上を始めた。

 18:50 前回旅行時に給油や買い物をした店舗に入り給油 (13.768ガロン) 店内で現金支払い。お釣りのコインを公衆電話に。やはり通話できず。使い方が間違っているのかな。

 店内に入り電話を貸してくれるように頼んだら、架けてあげるよと携帯電話からダイアルしてくれた。ノーザン・スカイ・ロッジにつながりマイルポストを聞き出してくれた。お金を支払うといったが、不要と受け取ってもらえなかった。

 20:35 このあたりは制限速度65マイルなので案外早く Aー329Mi の Northern Sky Lodge に到着。パスカルの出迎えを受け新しく出来た2階の部屋に案内された。

 ワシントンD.C在住で今夜はこのロッジに宿泊する娘夫婦は既に到着していて、1年ぶりの再会を喜んだ。21:00 夕食 パスカルののおいしい料理 ロースト・ポークを娘達にも食べさせたいと日本を出る前に注文していたのだが、テーブルの上には期待の料理が用意されていた。

 夕食後は2階のダイニングルームというかサロンと言うかで、雑談。鮮烈な印象の紅葉が話題にのぼる。婿が今ドルトン・ハイウェイの北極圏近くの風景が見事だと友人から聞いたと話した。

 婿と私でドルトン・ハイウェイのあれこれで盛り上がる。以前からダルトン・ハイウェイを私が走りたがっていることを知っている妻は、内心まずいことが話になったと思っていることだろう。

 フェアバンクス滞在中の行動は到着後に考えることにしていたので友人・妻に相談。明日はチェナに行こうとまとまる。明後日はダルトン・ハイウェイを北極圏まではどうかと投げかけたが、返事なし。ダメともいわなかったので黙認したと勝手に決めた。

 0:00 明日アンカレッジに向い、ワシントンD.Cに帰る娘夫婦のこともありお開きにする。

 
0:10 就寝 アラスカ大学のオーロラ予報では、ここに滞在中の4日間オーロラ活動は期待できない。また今の雲行きもあやしいとオーロラの見張りは中止にた。 夜半大雨の音で目覚めた。

 本日の走行距離 171km   累計走行距離 4,719km

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