オリンピック国立公園・シアトル レンタカー旅行記


 00.9.23(土曜) (カラロック)

  天候  快晴 

 18:45 オリンピック国立公園 Olympic National Park の西海岸側・カラロッチに到着、今夜の宿、高台にある2寝室のひろびろとした丸太のキャビンにレンタカーを寄せると、眼下に太平洋に沈もうとする太陽が大きく赤く輝いている。ただちに海岸に下りる。

 水鳥がきらめく海面の中にそっとたたずんでいる。流れついた巨木のかずかずが造形的なシルエットを創りだす。砂浜を子供が凧上げに夢中になっている。青空が鮮やかな夕焼け雲で覆われていく。本当にのどかな情景だった。

 世界でも有数の夕陽の名所といわれているのも当然だろう。20:00レストランで夕食。受付の男性が片言の日本語で、しばらく日本にいたと懐かしそうに話しかけてきた。21:40満天の星、天の川、北斗七星などを見上げながらキャビンに戻った。

 本日の走行距離 257.7マイル (累計 1,947.9マイル)


  00.9.24(日曜) (カラロック〜ポートエンジェルス)

  天候 快晴

 6:30起床、朝日に照らされた カラロックビーチ Kalaloch Beach を散策する。隣のキャビンの老夫婦から声をかけられ、シアトルに住んでいて、元はボーイング社に勤務していたと話だした。私たちが日本からきたことがわかると、奈良や大阪にいったことがある、日本経由で朝鮮戦争に従軍し、博多に帰ってしばらく滞在したと懐かしそうな表情だった。

 オリンピック国立公園 は海岸、温帯雨林、山岳地帯と変化に富んでいる。海岸は昨日から楽しんでいるが、これからは針葉樹のホー・レイン・フォレストだ。途中からダート道になる、公園入り口で10ドルを支払い。

 ホー・レイン・フォレスト へ着く手前で小さな池に遭遇。澄みわたった水に紅葉した木々が写る神秘的な美しさに、車を止めてしばらく眺めていた。

 ビジターセンターで車を残し、ホー・レイン・フォレスト Hoh Rain Forest 右手のトレイルに進む。木の幹や枝にびっしりと覆い被さっている湿った苔と、あたりの薄暗さでなんとも異様な雰囲気だ。足元には大きなしだ類が群生している。

 小川は磨きあげた鏡のようでまわりの樹木がはっきりと写っている。倒木があちこちに点在し、トレイルを除くとまったく手づかずの自然がある。オリンピック国立公園の看板があるホーレインリバーの清流を前に13:20昼食をとる。

 15:25 ソルダック・ホット・スプリングス Sol Duc Hot Springs に着く。黄色に紅葉した大木が出迎えてくれた。しかし温泉やレストランは先週で今シーズンの営業を終了していたので、付近を散策しただけになった。

 16:00山に囲まれた レイククレセント Lake Crescent を通る。湖岸にテントを張りキャンプしている若者二人が、椅子に腰掛けて語らっている姿がほほえましかった。

 17:00ポートエンジェルスに到着。モーテルで部屋を見た後、素敵な部屋だと話したら5ドル安くしてくれた。荷物を置くのもそこそこにハリケーンリッジに向かう。17:50到着。

 オリンピック国立公園で最後の訪問地 ハリケーンリッジ Hurricane Ridge の展望台に向かう。キャリーグレイシャーで山頂が白くなっているオリンピックの連山が見える。10名ほどの人が立ったり、座ったり思いおもいの姿勢で沈んでいく夕日をながめている。背の高い草の影が長く伸びてきた。黄昏の雰囲気があたりを包む。誰もじっと静かに時間の経過に身を委ねたまま自然の中に溶けこんでいる。

 太陽が沈み夕闇が訪れて、しばらくしてから思いだしたように、何人かのひとが立ちあがる。至福のいっときだった。19:30モーテルに帰着。

 本日の走行距離 197.4マイル (累計 2,145.3マイル)


  00.9.25(月曜) (ポートエンジェルス〜シアトル〜カークランド)

  天候 快晴

 5:30起床、7:50 ハリケーンリッジ に着く。柔らかい朝の陽射しが白い氷河の連山を美しく輝かせている。空が青く高く晴れわたり、ひんやりとした空気を感じる。優美な景色に、優雅な時間が流れる。

 人は外には一人だけだ。大きな三脚をたてて写真を撮っている。プロの写真家といっていた。しばらく話をしていたら、カメラのファインダーをのぞかせてくれた。構図のとりかたがまったくうまい、プロの腕に感心する。彼が立ち去った後、あたりを散策し、写真を写す。

 8:45出発、下山途中でさきの彼が写真をとっているところを通りかかり、車をとめる。目の下に拡がる森林が、斜めからの太陽で見事な陰影をつくり、グラデーションの美しさに思わず息を飲み込んだ。高く聳える一本の木の梢に姿の美しい鳥が留まり、澄み切った青空に浮かんでみえた。

 ポートエンジェルスを9:40に通過、シアトルへのフェリー乗船まで3時間待ちのこともあると聞いていたので、先を急ぐ。フェリー乗船待ちレーンを右にみながら、並行する走行車線を走る。いっこうに車が見えない、まだまだ乗船場のあるキングストンは遠いのかと思っていたら、切符売り場の前に出て、係員がこのまま進めと叫んだ。

 なんとまさに出船直前で、タラップを上げかけているところに駆け込んで、指示に従いタラップを上がった船の最後尾に車を停止し、下車したときにはフェリーは動き始めていた。

 デッキに上がってケーキとコーヒーを買い、景色をみて一息つこうと腰をかけたら、間もなくエドモンド到着との船内放送があった。調べていなかったので不覚にもこれほど近いとは考えてもいなかった。僅か10分か15分の乗船時間だろうか。

 11:35エドモンドに到着。混雑しているI−5、I−405を経由してカークランドの娘の自宅に12:00に帰着。娘は3時間待ち経験者なので、あまりに早い到着にビックリしていた。

 午後は拾いものの時間になった。カークランドのカフェでお茶を楽しみ、お土産にカフェ・ラテ発祥の地、シアトル自慢のコーヒーを購入した。

 17:30ベルビューインに行き、レンタカーを返却、お世話になりありがとう。

 娘夫婦の車に乗り、ダウンタウンへ、18:30 シアトルのディナークルーズ の乗船場に行く。通常148ドルのところが、サービス週刊にあたっていて半額になっていた。窓際のシートに案内され、ワインをオーダー、こころに残る旅が無事終わったことを祝う。

 19:00出航、暮れなずむシアトルの風景、黄金色のスペースニードルや高層ビル、赤く染まった山と水、のんびりとした娘夫婦との語らい、食事が終わったところでデッキに上がる。頬をなでるひんやりとした風が心地よい。乗員が声をかけてくれて、何枚かの記念写真を写す。楽しく豊穣な時を過ごし、21:40桟橋に戻る。 

  本日の走行距離 121.6マイル (累計 2,266.9マイル)


  00.9.26・27(火・水曜) (シアトル〜成田)

  天候  快晴 

 7:00起床、9:30娘の自宅を出る。シアトルズベストコーヒーに寄り、飲み物を仕入れ、グリーングラスパークでお茶にする。芝生が敷きつめられ、背の高い樹木が多いひろびろとした公園で、のんびりと開放感を味わう。11:15シアトル空港に到着。しばらくして娘夫婦と別れる。

 11:30搭乗手続きを終え、航空会社のラウンジへ。航空機の発着が見えるソファに腰をおろし、妻とワインを手にする。機体の整備遅れで搭乗開始は45分遅れるとのこと。13:35離陸。
機内の乗客は3割程度で空いている。

 27日、15:20成田到着、荷物が最初に出てきたので、バス乗り場には15:40に着いた。ちょうど出発直前でついている。16:15幕張着、16:30自宅に帰着、何事もなく、楽しい旅行と娘夫婦との再会ができた。

おりおりの熟年生活(アメリカ北西部レンタカー旅行)