奈 良 井 宿  
               
                           
               
               

 奈良井宿は昔の面影を残していて、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている。中山道は67宿。奈良井宿は江戸からも京からも34番目の宿場で、俗に奈良井千軒と言われて栄えていた宿場だ。

 この日奈良井宿には 高速バス、列車、車でと各地から9名が参集。南米旅行でご一緒した人たちだが、よく気が合い、お世話する方がおられて4回目の同窓会、奈良井宿を散策後開田高原で2泊3日の予定。

 訪れた日は猛暑日が連続した後、北からの寒気団で気温が下がったが同時に雨が連日降りしきり、この日もうっとしい空模様だった。そのため往来を行き来する人が少なく、落ち着いて町並みを歩き愉しむことができた。

 集合時間がお昼時だったので、駐車場横の 林の中の古民家カフェテラス深山で100年前のレシピで作ったという カレーで腹ごしらえを済ませた。

 食後中山道杉並木の中を歩き、奈良井駅から鳥居峠方向にぶらぶらと歩きだした。風情のある町並みと興味の惹かれる品物に、ゆっくりとした散策。

 通りの中ほどまできたら 御宿・伊勢屋の前に立っていた。昔からの調度品を見ながら、奥に進み200年ほど前の建設当時の面影を残す母屋を見学させていただき、帰りに右のポスターを見つけた。

 廃刊になっているが懐かしい雑誌「旅」の1990年1月号の「今、泊まってみたい宿・心に残る木造りの宿30」の表紙の写真が、伊勢屋の表構えだった。また明治時代まで脇本陣兼下問屋だったと案内があった。上段右2枚が伊勢屋の写真です
   
 
 
 五平餅やおやきの店からほのかに美味しそうな匂いが漂ってくる。この街並みの雰囲気に溶け込んでいて、五平餅を手にちょっといっぷくすることにした。

 伊勢屋の前は「ゑちごや旅館」。玄関口の畳の上に「旅籠行燈」たたきには男物、女物の下駄。色とりどりの清潔感があふれる鼻緒。行儀よく整えられて整列。思わずカメラを向けていた。

 国指定重要文化財 上問屋資料館 靴を脱いで座敷に上がる。問屋は、幕府が定めた伝馬(宿駅用の馬)と歩行役(人足)を常備、管理運営してし旅行者の求め応じた。奈良井宿では手塚家が270年間問屋兼庄屋だった。その当時の諸道具などが展示され、また明治天皇の行在所(明治13年6月)となった部屋が当時のまま残されていた。

 鎮神社へ続く緩い坂道から振り返ると、奈良井宿の家並みが僅かにカーブして緑の山に溶け込んでいる。心和む風景に身をおいて至福の時間が過ぎ去っていった。

撮影日 2015.8.29
撮影地 長野県塩尻市奈良井宿

おりおりの熟年生活(お茶の時間)