寝 台 特 急 カ シ オ ペ ア の 旅


 56年前大学3年の年 上野駅から東北本線経由の夜行急行列車  いわて に乗り十和田湖へ。数日後の深夜青森から青函連絡船 摩周丸 で函館に渡り、25日間の北海道・十和田周遊旅行を愉しんだ。帰途は再び摩周丸 早朝函館を発ち、午後青森から奥羽本線経由の夜行急行 津軽 で翌朝上野到着。東京駅から 急行 なにわ に乗り継いで大阪に夜帰着した。

 家内には夜汽車や深夜の青函連絡船中での思い出を何度も話をして、聞き飽きたと言われている。北海道にはその後新婚旅行や両親との旅行、出張、写真仲間との撮影旅行などで10回以上訪れているが、竜飛海底駅見学を除くといずれも飛行機かフェリーの利用。

 学生旅行の夜行列車の想い出があって、かねて夜行の寝台特急で北海道旅行をしたいと思いを募らせていた。2015年春のダイヤ改正で幾つかの夜行寝台特急が廃止され、東京から北に向かうのは カシオペア のみになるのを知り、カシオペアの旅を計画。このほど札幌から上野まで17時間の旅を満喫してきた。
   

  札幌から上野まで夜汽車の旅情を楽しむ カシオペアが入線してきた。撮り鉄が向かいのホームからカメラを構えている。

 私も夜汽車の雰囲気を出したいので薄暗い駅舎を通過中の機関車に焦点をあてた。

 cassiopeia のロゴの入った銀色の客車をバックに数枚の記念写真を撮り、慌ただしく4号車に乗車。入線から発車まで9分と僅かな時間が過ぎた。
     
       
     カシオペアは全車A寝台個室。乗車定員は176名。予約の4号車12室はカシオペアツイン。テレビ、トイレ、洗面を備えた機能的な室内はゆったりとした広さ。

 札幌を出発してほどなく部屋にウエルカムドリンクが運ばれてくる。流れる風景を眺めながら家内との会話がはずむ。

 家での僅かな会話ではなく、非日常的なとりとめのない雑談が続いく。
 
       
 最後尾12号車はラウンジカー。4号車からは離れているが、後方に過ぎ去る景色を見ようと向かうことに。

 窓の大きな展望車だ。最後方のシートには3名の高校生が座り、カメラとパソコンを出して撮影中。他には誰もいない。

 カシオペアは全車個室。カーテンだけで仕切られた開放の2段B寝台とは違iい、個室の中でのんびりとできるからだろうか。
     
       
       白鳥大橋の手前で急ブレーキ。エゾジカが線路に入っていたためとの車内放送。数分停車して動き出した。

 しばらくして太陽は沈み車窓からの風景は闇に溶け込んだ。

 室蘭の工場横を通過中。空は群青色。明るくひかる工場の灯りが美しい。車内から撮った写真のこの1枚を除き線路わきの建物が邪魔になっていた。 
       
 カシオペアの楽しみのひとつは、ダイニングカーでフランス料理のフルコースを味わうことだ。

 ダイニングカーは28席の3交代。乗車した人の半分未満の人数だけが事前予約で堪能できる。

 食事予約券ダイニングカーには、予約食事の内容・時間とともにひとりひとりの名前が記載されていた。
 
     
       
       案内放送があって4号車から3号車のダイニングカーへ。

 海の幸とグリーンアスパラムースのサラダ仕立て、真鯛のポワレ2種のソース、牛フィレ肉のソテーポルトソース、スペシャルガトーの盛り合わせ。


 美味い料理に家内との会話は少なくなる。 
       
  函館駅で機関車の交代。青函トンネルを抜けて青森でまた交代し上野まで。カシオペアは3種類の機関車で運行されている。

 短い多くのトンネルを通過。続いてトンネルに入ったら突然それまでと全く異なる音がした。22時10分過ぎ青函トンネル。

 18年前訪れた竜飛海底駅。現在は北海道新幹線工事の為見学は中止。人けはないがホームのライトは灯っていた。22時50分ごろやっと長いトンネルを抜けた。
     
       
  青森駅は運行停車でドアは開かないから就寝することに。シートを引き出してベッドに変えた。

 ベッドは長さ・幅ともに充分だ。クッションの寝心地も良好。航空機のビジネスクラスのフラットシートよりも快適だった。

 ガタンゴトンと軽快に伝わってくる振動も、気にならず、心地よい睡眠に誘ってくれた。
     
       
        朝食もダイニングカーで。料理を運んできたスタッフが、カメラをお持ちならおふたりの記念写真をお撮りしましょうかと。

 ディナーのときも同じように声をかけていてが、殆どのテーブルでシャッターが切られていた。

 カシオペア乗車記念にと、カシオペアミニヘッドマークストラップを購入した。
       
 窓の外は、見慣れた都会の家並みに。並行して走る電車 駅には通勤の人々。非日常の空間から現実の世界に戻されてくる。

 上野駅に到着。降り立った人々がカシオペアをバックに写真を撮る。大勢の撮り鉄がホームを走る。

 山手線に乗り換え。ホームも車内も満員。再び喧騒の中にほうりこまれて、楽しかった北海道旅行とカシオペアの旅は終了した。
   
       

 17時間もかかる札幌ー上野間の夜行寝台列車 カシオペアは、列車自体が 旅の目的。全車がA寝台個室でダイニングカーのある日本で唯一の列車だ。

 食堂車はよく利用した。秋田の郷土料理きりたんぽは、秋田への出張の時に特急の食堂車で食べたのが初めてだ。新幹線では高い窓から景色を眺めたことを想い出す。食堂車での食事は列車の旅の楽しみのひとつだった。カシオペアでのディナーと朝食は、折に触れ家内との会話に登場するだろう。

 日常生活を離れ、優雅で充実感に満ちた車内。大宮を過ぎたころから、楽しかった旅の終わりを惜しむ気持ちが湧いていた。

おりおりの熟年生活(お茶の時間)