天 売 島

 天売島は多くの海鳥が飛来する貴重な営巣地で、8種類の鳥の繁殖地になっている。3月頃からウトウ、ケイマフリ、ウミネコなど100万羽が飛来するが、特に6・7月はウトウの繁殖期で観察に訪れる人が多い。

 島を一周する観光船に乗船、断崖絶壁が続く西の海からは営巣中の鳥や飛翔する鳥が次々と現れる。

 ウミウが白波を残しながら、海から飛び立って行く。陸上とは違った鳥の様子を観察できる。

 日本唯一の繁殖地天売島での生息数が20羽ほどといわれているオロロン鳥。その絶滅危惧種の2羽が白いお腹を見せて波間に漂っている。ガイドによるとオロロン鳥が見られたとはみなさん大変な幸運ですと。

 この時期にはめずらしいゴマフアザラシも2頭顔を出してこちらを観察している。本当に運がよいですねぇとダメ押しの説明が聞える。

 世界的に希少で、赤い脚が特徴のケイマフリが波間に羽を広げて我々を歓迎するそぶりを見せている。その動作の愛らしさに自然と微笑がこぼれる。

 夕暮れはウトウとウミネコのすざましい争いが始まる。小魚(6月初めはイカナゴ多数、6月末ごろはカタクチイワシ1〜3匹)を口にくわえて巣に戻るウトウから、その小魚を奪おうとするウミネコが襲いかかるのだ。

 ウトウの帰りを迎え撃つウミネコが空を覆っている。間隙をぬって巣に直進するウトウ。雛へ与える小魚を奪われまいとするウトウの巣に向かう動作は実にすばやい。大きな鳴き声をあげてウミネコが襲いかかっていく。足元で戦いは起こるのだが、夕暮れでもありピントを合わせる余裕はなかった。

 ウトウの雛が巣から出てきている。普通は7月10日ごろ、早く出てきても7月5日以降だそうで、今年ガイドになった案内者は私も初めて見ましたといっていた。

 昼間は島を徒歩で一周する。海鳥観察舍から赤岩展望台への途中咲き乱れているエゾカンゾウに出会う。

 赤岩展望台ではウミネコの営巣地と群れをなして空を飛び交ういくつもの群れ。時間の経過を忘れて見とれてしまった。

 観音岬展望台はウミネコの営巣地の真っ只中にある。足元や頭上を飛び交うウミネコの数、下に見えるウミウの営巣地、絶壁の美しい風景を眺めながら、天売島は本当に海鳥の楽園だと実感した。

撮影日 07.6.26〜28
撮影地 北海道羽幌町天売島 

おりおりの熟年生活(お茶の時間)