開田高原 晩夏  
               
                           
               
               

 8月下旬開田高原に向かった。木曽福島から国道361号を走り、トンネルを抜けると風景が一変する。いつも開田高原に着いたとわくわくする瞬間だ。

 今日は雨上がり、みずみずしい緑の木々が目に飛び込んでくる。軽いカーブの先に短い期間しか咲いていない色とりどりのコスモス。淡いピンクや清楚な印象の白く可憐な花が、道の両側で美しく花開いていた。背後の白い幹の白樺がコスモスの美しさをいっそう際立てる。

 雨がそぼ降り、どこに出かけようかと思案。開田高原の入り口で見た
白樺の白い幹と美しい緑の葉が思い浮かんだ。白樺の林なら日和田高原がすばらしい。

 写真撮影で仲間と秋・冬に何度か訪れているが、これほど白樺が多いところは少ないといっている。私にとってはこの時期は初めてだが行ってみた。雨が白樺の美しさを引き立てていて、今日一緒に訪れた7名もきれいだと感激の様子。これからもこの時期にも訪れようと思った。

 霧雨が降るなか小径を歩く。こちらに来てとの声。親蜘蛛と巣。巣の中の赤ちゃん蜘蛛が動いている様子がすけて見える。皆初めてだったのだろうか。興味津々といった風情でしばらく眺めていた。

 訪れる人は少ないが個人の私有地3万坪の凡そ半分の敷地に1万本ものドイツトーヒの森がある。数十メートルの高さの整った林で、光は大木の間から僅かに射すだけで薄暗く、ヨーロッパの森林の雰囲気が醸し出されている。

 ドイツトーヒの下の地面ではは様々な種類の草々が茂り、苔が生え、キノコが育っていた。並び方が面白いキノコを見つけたので、カメラを地面に着けやみくもにシャッターをきった。

 ここでは皆さんとドイツトーヒや草、コケなどを観察しながら歩き、また偶に訪れては写真を撮っているので、集合写真のシャッターは押したが、風景は撮り忘れた。

 秋の気配が漂よってきて、すすきが目立つようになってきた。まだ風情のある情景ではないが、薄い茶色が一面に広がっていた。秋風のかすかな匂いがする。

 定番の木曽馬の里に行く。ソバの花が真っ白で丁度見頃だった。

 2泊3日で9名が開田高原を訪れた。私はその前後の9日間滞在したのだが、青空を見たのはたった1日僅かに30分ほど。

 初めて開田高原を訪れた皆さん期待の晴天下の御嶽山は、ついに見ることがなかった。それどころか雲に覆われて山裾が時々見えるだけ。残念ねェとつぶやきが漏れていた。

 3日目の朝食時窓から御嶽山方向を眺める。継子岳や摩利支天などが時々覗く。雲の動きが早い。しばらくして短い時間だったが、御嶽山が雄大な全容を現した。ちょっとでも見えてよかったねといくらか満足した次第。

 天気がよければ宿泊のペンションの窓から、噴煙を上げる御嶽山や夜空に輝く天の川が望めたのだが。今年の天候は全く不順だ。

撮影日 2015.8.27〜9.4
撮影地 長野県木曽郡開田高原 岐阜県高山市日和田高原 

おりおりの熟年生活(開田春秋)