木曽馬の里  
               
                           
               
               

 木曽馬は木曽地方の風土がはぐくんだ日本在来馬です。性格が温和で粗食に堪え、足腰が強いことから山間地の農耕馬として重宝され、数千頭もいたことがあります。

 しかし農業の機械化が進み、木曽馬の必要性が減少するに伴い絶滅寸前までに至りました。

 そのため昭和44年「木曽馬保存会」が結成され、平成7年開田高原に木曽馬保存の中心的施設となる「木曽馬の里」が設けられました。現在木曽地域全体では約60頭が保護育成されています。

 木曽馬の里では約30頭が飼育され、乗馬体験や記念行事などに活躍し、開田高原の観光名所になっています。テレビや旅行雑誌などにも頻繁に取り上げられ、多くの方が訪れます。

 夏は広場に放牧しますが、冬季は山間部の林野の中への放牧がほとんどです。しかし冬季でも偶に積雪量と天候によっては数頭を広場に放牧すことがあります。



 広場に出された木曽馬たちは、しばらくは戸惑って立ち止まっていましたが、やがて白樺の林に向かって元気に駆け出していきました。ひとしきり走った後は、喉の渇きを抑えるためか雪を食べています。

 その後はまた白雪を蹴り、たてがみをなびかせながら勢いよく私の方向に向かって走ってきました。その後再び雪を食べていましたが、下から枯草が見えました。干し草を食べていたので枯草でも新鮮なのでしょうか。しばらくは食事に専念し、走り出す様子はありませんでした。

 山林に囲まれた広場では、白く積もった雪の上にまかれた干し草をいつまでも食べ続ける木曽馬がいました。

 穏やかで優しい時間が流れている木曽馬の里を楽しみました。

撮影日 2013.1.10
撮影地 長野県木曽郡開田高原 木曽馬の里

おりおりの熟年生活(開田春秋)