開田高原 晩夏  
         
                     
         
         

 開田高原「やまゆり荘」で、海外旅行の写真を9月1日から30日まで展示させてもらうことになったので、山小屋には8月29日から訪れることにしていた。

 8月中旬「第13回 開田高原 森の音楽会」開催の案内が届いた。この音楽会は、演奏者の身近で演奏を聴くことができるので楽しみにしている演奏会だ。

 8月28日はテニスコートの予約当番。代わってくれる人を探し、当日は早朝に自宅を発った。

 演奏会の内容は「琴の音を、風に乗せて」 邦楽普及団体「えん」を主宰する 伊藤和子さんと伊藤志乃さん親子 琴と三味線の演奏だ。

 はじめに琴と三味線の歴史や楽器の説明。展示は飯田藩主の娘が使用していた琴で、螺鈿はふたりの天女が表現されていた。

 演奏では、聴きなれた宮城道雄や八橋検校の曲のほか、沢井忠夫作曲で現代風の「小さな春 鳥・夢・花」「荒城の月〜二つの変奏曲」があった。この二つの曲は琴の新しい魅力を聴かせてくれ、今回も楽しい時間を過ごすことができた。

 滞在中は紀伊半島に甚大な被害をもたらした台風12号が接近し、本土を通過して、曇りから土砂降りの雨になったが、僅かに晴れ間がのぞいた半日は近くに出かけた。

 早朝山小屋のある恩田原で車を走らせていたら、前方からくっきりとした光芒が射してきた。美しい光景に丁度通りかかった人を入れてシャッターを切った。

 山小屋から6kmのところはススキが一面に生えている。その辺りまで行き着いたときは、空は雲におおわれ、霧が立ち上ってきた。太陽が雲と霧にさえぎられて、幻想的な景色が出現。数枚カメラに収めた。

 朝食後木曽馬の里に出かける。白樺林を吹き抜ける風が爽やかだ。放牧場に放たれた木曾馬が一心不乱に草を食んでいる。新鮮な草は美味いのだろうな。

 道を挟んで一方は、白い蕎麦の花。清潔なカーペットを敷きつめたよう。手前にコスモスやオミナエシ。遠くの道をゆっくりとサイクリングを愉しむふたり。コスモスの花から花へ、蝶が舞う。夏姿の御嶽山の上に白い雲がなびく。

 山小屋の今朝の最低気温は 15.1℃。開田高原は初秋の雰囲気が漂ってきている。 

おりおりの熟年生活(開田春秋)